梅の実学園の仲間たち

梅の実学園のメンバー(生徒)たちの物語です。現在のメンバーたちは4800人(匹)!!みんなで作る学園です!!

いろいろな障がい者

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こんにちは!邦秀(23歳・社会福祉士)です。

12月は「人権週間」でもあります。

弱者の人権は高齢者、子ども、女性などがありますが、その中で「障がい者」を取り上げたいと思います。

 

障がい者は身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者の4つ。障がい者とは分類が違いますが、特定疾患患者も障がい者の一つとしてとらえているところもあります。障がい者は18歳以上の障がいを持つ大人の方が定義で、18歳未満の子どもの障がい者は障がい児とも呼びます。

 

身体障がい者は体の全部または一部に障がいがあります。体の分類によって上肢・下肢・体幹障がい(肢体不自由)、視覚障がい、聴覚障がい、言語障がい、内部障がいに分類されます。

上肢・下肢・体幹障がいは病気やけがなどで手や足が不自由または体全体が不自由、手や足の一部を切断などさまざまです。車いすや義手・義足を使用する人もいれば、寝たきりの人もいます。脳性まひで体が不自由な方もいます。

視覚障がいは名前の通り、目が不自由な障がいです。全盲の方もいれば、片目のみ失明した方、視力が著しく低下している「弱視」の方もいます。歩行のときは白い杖を使用したり、盲導犬を利用したりします。読み書きは点字を使用します。

聴覚障がいは耳が不自由な障がいです。両耳が聞こえない人もいれば、片耳のみ聞こえない人もいます。耳が聞こえないため、人との会話は手話を行います。電話も基本的にできないのですが、パソコンやスマホのメールを使うのは可能です。

言語障がいは病気などでしゃべるのが不自由な障がいです。言語障がい単独の場合もあれば、聴覚障がいと併発して起こることもあります。人との会話自体が困難なので、対処は聴覚障がいと同じです。

内部障がいは心臓や腎臓、肝臓、呼吸器、膀胱、腸(大腸・小腸)、免疫等の病気により機能が低下した障がいのことです。がんや臓器移植、HIVなど、病気はさまざまですが、特定疾患でも内部障がいが起こることがあります。

 

知的障がい者は生まれつきまたは病気などで日常生活の知的行動に支障がある障がいで、精神遅滞や脳性まひ、ダウン症候群などさまざまです。機能は言語能力、学習能力、身体能力に遅れがあります。ダウン症候群のように内臓の病気を併発する場合があります。自閉症も知的障がいの一種ですが、現在は発達障がいに分類されています。

 

精神障がい者はさまざまな生活環境により、ストレス等で心身の機能が低下し、さまざまな精神行動を起こす障がいです。精神障がいは「精神疾患」の定義の方が広く知られていて、障がいよりも「病気」の認識が強いです。代表的な病気ではうつ病統合失調症躁うつ病うつ状態抑うつ状態・躁うつ状態)、強迫性障害強迫神経症)、不安障害(不安神経症)、社会不安障害などがあります。てんかんなどの神経系の病気も精神障がいに分類されます。認知症はこれまでは精神障がいではなく、脳神経系の病気の一つでしたが、現在は精神障がいに分類されています。精神障がいは生まれつき罹患することはほとんどなく、多くが小学生から高齢者まで誰でも起こりうる障がいです。ストレス社会の現在では精神障がい者の数は増えています。

 

発達障がい者は生まれつき脳機能のアンバランスにより、コミュニケーションや日常生活に支障がある障がいで、LD(学習障害)、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)、自閉症アスペルガー症候群、広汎性発達障害などです。発達障がい者はこれまでは子どもの障がいとして定義していましたが、近年は大人でも発達障がい者が増加しています。大人、特に30代以上の発達障がい者では、子どものときは発達障がいという名前すらなく、問題行動があっても、特に誰一人目立って問題を指摘されていなかったため、何も支援がなく放置されていました。学校では変わっている子と見られるだけで、学校の勉強とかは普通にやっていました。ところが、職場で仕事をするときに大きな問題行動が目立ってしまい、転職をくり返したり、引きこもりをする人たちが増えてきました。病院で発達障がいを指摘され、その後の検査で発達障がいが見つかる大人たちが多く存在しています。発達障がいは遺伝性があり、子どもが発達障がいと診断されたのちに、両親の両方またはいずれかが発達障がいがあることが多いです。

 

特定疾患患者、特定疾患は国(厚生労働省)が「難治性疾患克服研究事業」の臨床調査研究分野の対象に指定された疾患のことで、筋萎縮性側索硬化症ALS)、脊髄小脳変性症ギラン・バレー症候群潰瘍性大腸炎クローン病膠原病系疾患など130疾患があります。都道府県が実施する特定疾患治療研究事業の対象疾患でも国の特定疾患に認定されています(56疾患)。特定疾患は「難病」とも言います。

 

障害者手帳身体障害者手帳療育手帳精神障害者保健福祉手帳があります。

身体障害者手帳は身体障がい者が対象で、1~6級まであります。1、2級が重度、3~6級は軽中度の障がいの程度です。

療育手帳は知的障がい者が対象で、A、B1、B2の3種類あります。Aが重度、B1・B2が軽中度の障がいの程度です。東京では「愛の手帳」とも呼びます。

精神障害者保健福祉手帳は精神障がい者が対象で、1~3級まであります。1級が重度、2、3級が軽中度の障がいの程度です。

 

障がい者の支援は「障害者総合支援法(18歳以上)」や「児童福祉法(18歳未満)」で、各種障がい者のサービスを受けることができます。例えば、ホームヘルプサービスやガイドヘルプサービスなどいろいろ。発達障がい者特定疾患患者は障害者手帳を取得しなくてもサービスを受けることが可能です。

都道府県(市町村)の公営住宅の入居は障害者手帳があれば、単身で入居をすることができます(身体障害者手帳では1~4級まで)。さらに、身体障害者手帳1~4級、療育手帳A・B1、精神障害者保健福祉手帳1、2級の方は障がい者向け公営住宅に入居することができます。ただし、所得制限があることと、希望多数の場合は抽選となりますので、ご注意ください。

障害者手帳がある方は都道府県の各市町村が発行する「乗車証」がもらえ、各市町村交通局が運営するバス(各市町村が指定する民間バスも含む)や地下鉄が無料で乗車することができます。ただし、無料の距離の範囲は各市町村の範囲内となります。また、身体障害者手帳療育手帳を持っている方はJRや私鉄、夜間高速バスなどの交通機関も割引価格で乗ることができます。

障害年金は各障がい者ともに国民年金では1、2級、厚生年金では1~3級があり、日常生活や社会生活のしづらさや病状などにより、支給が決定されます。しかし、ほとんどの障がい者の方は年金を受給することができず、年金を受給できた方も次の年の審査で減額または支給停止になってしまった方が増加しています。障害年金そのものも減額されています。生活保護障害者手帳があれば、障害者世帯として受給することができますし、一人親世帯の方で、子ども(20歳以下)が障がいを持っている子がいれば、児童扶養手当を受給することができます。ただし、生活保護児童扶養手当も年金と同様に減額されています。児童扶養手当は所得制限があること、生活保護は申請の際に一定の条件がありますので、注意してください。

このほかには障害者手帳の提示で携帯電話の利用料金が割引になったり、NHKの受信料が無料になったり、美術館や博物館などの施設が割引になるなどのサービスがあります。

 

学校は聴覚・視覚・内部障がいを除く身体障がいと知的障がいの子どもは特別支援学校(養護学校)、聴覚障がいの子どもは聴覚支援学校(聾学校)、視覚障がいの子どもは視覚支援学校(盲学校)があります。基本的に障がいを持つ子どもさんが住む地域にある特別支援学校等に通うことになります。設立区分は私立の学校は非常に少なく、多くが国公立の学校です。義務教育年齢の子どもの場合は居住する地域の公立の小学校や中学校の障がい児学級に通うこともできます。問題は中学を卒業した時の進路で、特別支援学校等の中学部に通っている子どもは多くが特別支援学校等の高等部に進学することができますが、地元の公立中学校に通っている子どもは高校受験を受けなければなりません。公立を中心とした多くの高校では障がいをもつ子どもを受け入れていません。特に知的障がいや一部の身体障がいでは高校受験で不利な扱いを受けるため、多くが特別支援学校等の高等部に進学することになります。ただし、一部の身体障がいを持つ子どもや軽度の知的障がいを持つ子どもは、健常者と同じ学力を持っていれば、一般の高校に進学することができます。多くがバリアフリーの設備が整っている私立高校が中心です。内部障がいと精神障がい、発達障がいを持つ子どもと特定疾患を患っている子どもは一般の学校の進学が主です。大学や専門学校は子どもの学力やバリアフリー化など、一定の条件があれば進学することができます。茨城では視覚障がい者、聴覚障がい者が対象の大学があります。

就職も障害者手帳があると、ハローワークの求人(特に障がい者雇用)に応募することができますし、就職に関する支援を受けることができます。障害者手帳を持たない発達障がい者特定疾患患者は就職に関する支援を受けることができますが、障害者雇用の求人に応募することはできず、一般の求人に応募するか障がい者トライアル雇用の求人に応募することになります。障がい者雇用をしている会社は大手企業を中心に広く受け入れていますし、障がい者を対象とした「特例子会社」の従業員として仕事をしている障がい者もいます。採用後、就労の定着のための「ジョブコーチ」が会社・職場を訪問し、必要に応じて障がい者・経営者(人事担当者)等に助言しながら定着を行っています。しかし、障がい者雇用をする会社は障がい者の雇用を義務化にしているのにもかかわらず、採用される障がい者はごく一部。特に義務化したばかりの精神障がい者ではほぼ皆無です。せっかく採用されても経営状態の悪化などで解雇や契約解除をされる人たちも多くいます。普通の会社に採用されずに障害者作業所で訓練を受けたり、無職を余儀なくされる人たちも多いです。中には在宅で仕事をする障がい者もいます。

 

障がい者の問題と課題は多く残っています。

身体障がい者では障がい者雇用の会社に採用されやすいですが、バリアフリーのなさに問題があります。特に中小企業ではバリアフリー化をした会社は少なく、エレベーターがなかったり、パソコンや電話を使えなかったりなどの問題が多いです。公営住宅では身体障害者手帳5、6級を取得している方は対象外です。車いすや寝たきりの方は死ぬまで介護の必要があり、親が死亡すると誰も介護ができなくなってしまうことが起こります。内部障がいでは、他の身体障がいのように目に見える障がいではないため、日常生活での生きづらさに大きな問題があります。

知的障がい者では昔から差別と偏見が多く、学校や職場でちょっと変わっていることでいじめの対象になってしまいます。学校では普通の子どもと分離するため、通常の勉強は障がい児学級で勉強をしなければなりません。ただし、ホームルームや一部の授業、学校行事には健常者の子どもと一緒に活動することができます。軽度の知的障がいを持つ方では、コミュニケーションなどに支障があり、転職を余儀なくされたり、軽い犯罪をくり返す人たちが後を絶ちません。車いすの方たちと同様に、親が死亡すると誰も面倒を見る人がいなくなり、生活が難しくなります。

精神障がい者では精神科の薬の治療が中心ですので、死ぬまで薬漬けになる人たちが多いです。海外では精神療法が中心ですが、日本では薬物療法が中心。薬物療法の方が診療報酬の得点が高いからです。精神療法はないわけではないですが、自由診療のため、高額な医療費を負担することになります。就職も義務化になっても就職ができず、親や配偶者に頼ったり、障害年金生活保護の受給を余儀なくされます。知的障がいと同様に差別と偏見が多く、そのストレスで病状が悪化する人たちもいます。JRなどの交通機関の割引は精神障がい者では対象外です。今後は障がい者雇用の拡大やJRなどの交通機関の割引を精神障害者保健福祉手帳の取得者にも拡大することが課題となります。精神障害者保健福祉手帳は「精神疾患は治る」ことを想定して、期間は2年間しかなく、その後は2年ごとの更新になってしまいます。長期的な支援をしていくには、5年以上の期間に延長しなければなりません。

発達障がい者では独自の手帳がなく、事実上、精神障がい者として、精神障害者保健福祉手帳を持つことになります。自閉症では療育手帳を持つことができますが、コミュニケーションの発達障がいであるアスペルガー症候群や広汎性発達障害学習障害でも自治体によっては療育手帳を持つことができます。しかし、精神障がい者や知的障がい者に対する偏見が強い人は精神障害者保健福祉手帳療育手帳の両方の手帳を持たない発達障がい者もいます。発達障がいは生まれつきの障がいで、精神疾患ではありません。精神障害者保健福祉手帳に統一するのは好ましくなく、発達障がいを「病気」扱いされる恐れがあります。今後は独自の手帳の新設か療育手帳の対象を発達障がい者に拡大または療育手帳の法改正が課題となります。発達障がい者は子どもと大人で明らかに支援格差があります。病院での診断や治療・療育では子どもの方が充実していますし、当事者会や親の会の普及や自治体のサービスでも子どもの方が充実しています。大人の場合は病院での診断のみのところがほとんどで、治療や社会復帰はかかりつけの精神科クリニックに丸投げされます。しかもほとんどの精神科クリニックは発達障がいに理解のある病院は少なく、精神科の治療を余儀なくされます。当事者会は増えつつあるものの、一部の都道府県では当事者会がないところもあります。自治体のサービスも都道府県と政令市ごとに格差があり、子ども同様にサービスが充実しているところがあれば、全く機能していないところもあります。

特定疾患患者は発達障がい者と同様、独自の手帳がなく、身体障害者手帳(内部障がい)の取得が病状の変動によりできません。18歳以上の大人の方は「障害者総合支援法」の対象になっていて、各種障がい者サービスを受けることができますが、ごく一部のサービスしか受けることができません。18歳未満の子どもの場合は「児童福祉法」の対象になっており、小児特定疾患の支援は18歳未満まで行いますが、18歳を過ぎると小児特定疾患の支援から外れてしまい、医療費の負担が増えてしまいます。今後は身体障害者手帳の取得対象を特定疾患患者にも拡大するか独自の手帳の新設をすることと、小児特定疾患の支援を子どもから大人まで一貫して支援することが課題となります。

 

しかし、障がい者も悪いことではありません。

スポーツでは内部障がいと聴覚障がい、言語障がいを除く身体障がい者と一部の知的障がい者は「パラリンピック」の出場対象で、競技は車いすバスケや陸上、水泳などがあります。聴覚障がい者は「デフリンピック」、知的障がい者は「スペシャルオリンピック」に出場することができます。他には障がい者向けの国民スポーツ大会などもあります。

音楽や美術などの芸術分野でもハンデを背負いながらも、多くの作品を作っている人たちもいます。中にはアーティストとして活動している人もいます。有名なところでは、全盲のピアニストの辻井伸行さんがいます。

THE BEST

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日常生活でも結婚している障がい者もいますし、出産を経験している女性の障がい者もいます。

 

障がい者が人間らしく生きていくには、私たち健常者・定型発達者が障がいに対する理解を深めなければなりません。12月の人権週間のようにイベントとして啓発するのもいいですが、日常的な啓発をしていく必要があります。

特に家族や学校、職場がよき理解者にならなければなりません。ひとりひとりの個性や人権を尊重する社会にしていきましょう。

 

というわけで、邦秀でした。

また明日。さよなら。

 

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