梅の実学園の仲間たち

梅の実学園のメンバー(生徒)たちの物語です。現在のメンバーたちは4800人(匹)!!みんなで作る学園です!!

京阪大学附属病院

こんにちは。鈴奈(中1)です。

今月の「学校・職場・地域丸かじり!」は「梅の実」エリアの「職場」をお送りします。

今回は京都からお送りします。

 

今日紹介するのは京都にある「京阪大学附属病院」です。飲食店以外では初めてです。

「京阪大学附属病院」は関西を拠点とする大学病院です。見た感じではすごく大きいですね。さすが大学病院って感じで。

 

(しばらくして…)

私がいるのは病院内にあるとある施設に来ました。案内してくれるのは看護師の稜太さん(25歳・看護師)です。

よろしくお願いします。

>お願いします。(稜太)

この施設は何ですか?

>ここは「こども医療センター」という施設で、小児医療の総合施設です。さっそく中へ入りましょう。(稜太)

(1Fへ)

>まずは1Fです。各診療科の外来です。ここの診療科は小児科、小児外科、産科があります。ほかには児童・思春期精神科やジュニア診療科があり、いろいろな年齢・症状に対応した治療を行っています。(稜太)

児童・思春期精神科とジュニア診療科ってなんですか?

>児童・思春期精神科はうつ病などの精神疾患を持つ子どもたちの治療が中心です。精神疾患の治療だけでなく、知的障害発達障害の確定検査や療育も行っています。ジュニア診療科は中学生と高校生の生徒を対象に、各疾患の治療を行っています。小児科では中学生までを対象にした病院がほとんどですが、高校生を対象にした小児科は、継続診療を除き、全国的に初めてです。(稜太)

うちの近所の小児科クリニックもやはり中学生までが対象です。高校生まで対象を広げたのは珍しいですし、それを対象にした理由は何ですか?

>うちの病院ではがんや特定疾患など、重度の疾患を持つ患者を対象にしています。小児科では小児がんや小児特定疾患を持つ子どもの患者が多く来られます。従来の小児科では中学生までを対象にしているため、中学を卒業し、高校に入学した時点で、小児科での治療が途切れてしまい、一般内科や外科、血液内科に引き継ぐことになります。しかし、小児科以外の多くの医師たちは小児がんや小児特定疾患に対する認知がなく、フォローアップがしきれずに、誤った診療を行ってしまった経緯があります。あと、内科や外科の患者の多くが60歳以上の高齢者で、同世代の子の患者は非常に少なく、孤独な入院生活をせざるを得なくなります。小児科内でも中学生は乳幼児や小学生と一緒にすることにすごく抵抗があり、小児科の診察でも通いづらい傾向があります。そこで、高校生までを対象に広げることと、乳幼児と小学生、中学生と高校生のグループに区分することで、外来でも通いやすくし、外来・入院ともに診療をスムーズにすることができます。うちの小児科では小児科医だけでなく、内科医や外科医もいるので、高校を卒業した18歳時に各診療科に引き継ぐことができます。児童・思春期精神科でも高校生を含めた18歳までを対象にしているので、ジュニア診療科と同様に、一般の精神科への引継ぎが可能です。(稜太)

なるほど。それだと安心ですね。

(2Fへ)

>2Fです。ここからは病棟になります。2Fは児童・思春期精神科の病棟です。院内に精神科がありますが、一般の精神科と同様に、開放病室と閉鎖病室があり、各症状に応じた治療を行っています。1Fには子ども向けのデイケアがあり、学校復帰に向けた支援を行っています。(稜太)

(3Fへ)

>3Fは一般の小児科病棟です。3歳からの幼児と小学生までが対象です。各病室のほかに、プレイルームやイートルーム、院内学級があります。(稜太)

イートルームってなんですか?

>イートルームは院内給食を食べる部屋で、小児病棟に限らず、各一般病棟に設置しています。給食は調理室から運ばれてくるので、ぼくたち看護師がイートルームに移動して、各テーブルにセッティング・配膳をします。給食は食物アレルギーに対応した除去食もあるので、食物アレルギーを持つ子どもには除去食を食べさせるよう、細心の配慮をしています。尚、イートルームは個室で入院している重症患者や感染症患者以外の患者が対象です。重症患者や感染症患者は従来通り、ベッドで食べることになります。2Fでは開放病室の患者のみ、イートルームで食べることになります。(稜太)

ベッドで一人で食べるより、みんなで食べる方がおいしいですからね。

(4Fへ)

>4Fはジュニア診療科の病棟です。ジュニア診療科は先ほど言った通り、中学生と高校生が対象です。3Fと同様に、各病室に、イートルームや院内学級があります。あと、フリースペースがあり、患者同士でおしゃべりをしたり、ゲームをしたり、自習をしたりと、憩いの場としての利用ができます。2F、3Fを含めて、3食の給食以外の飲食は原則的に主治医の指示となりますので、飲食が可能な子とダメな子がいます。主治医の指示に従って飲食をすることになりますね。フリースペースでは給茶機が設置してあるので、患者とその家族の方はお茶やお水を自由に飲むことができます。(稜太)

>こんにちは。(中高生の患者たち)

>こんにちは。何やってるの?…(中略。ここで患者たちと談笑する)…あ、失礼しました。院内学級ですが、3Fと4Fにあり、病院付近の学校の先生が派遣し、普通の学校のように勉強を教えています。小学生が「東山小学校」、中学生が「東山中学校」の各担当の先生が来てくれます。高校生ですが、中学生と同じ4Fに院内学級があり、単位制の「祇園烏丸高校」の先生が勉強を教えることになります。各学年ともに退院後にお住まいの学校への転校手続きができるよう、学校側が細心の配慮をしています。(稜太)

院内学級は小学生と中学生ではメジャーですが、高校生もあるんですね。

>実は高校生を対象とした院内学級はうちの病院を含めて全国的に少なく、院内学級がないところがほとんどです。多くの病院では自分で単位制サポート校か通信制高校に進学して、自力で勉強しているのが現状です。うちの病院ではこの現状を解消するために、高校生を対象にした院内学級を作りました。患者とその家族からは「学校の先生が病院に来てくれて、親身になって勉強を教えてくれて、学校の勉強についてゆけるようになりました。」と、好評です。(稜太)

高校生の院内学級があると、安心して勉強ができますね。ただ、中学を卒業すると、高校受験がありますよね。患者の中学生たちは高校の院内学級を受験しないといけないのですか?

>それはありません。書類選考のみで引き続き中学の院内学級から高校の院内学級で勉強することができます。高校生の場合、退院する際はお住まいにある地域の高校の転入試験を受けるか、単位制サポート校や通信制高校に進学することになります。転入試験については高校の院内学級の先生たちがサポートをしてくれます。(稜太)

(5Fへ)

>最後は5Fの母子医療棟です。ここは2歳までの乳児と、出産予定の母親が対象の母子総合医療施設です。ここでは乳児の治療のほか、母親の分娩や治療を行っています。病室は乳児と母親のそれぞれの病室のほか、親子一緒の病室もありますし、NICUも完備しています。分娩室もあり、専門の助産師が介助を行っています。尚、帝王切開を含めたハイリスク出産については、隣の施設にある手術室等で治療を受けることになります。(稜太)

 

「こども医療センター」の中を案内してもらったところで、ここで稜太さんにお話を伺いました。

稜太さんは男性ですが、看護師になろうとしたきっかけはありますか?

>もともとは母親が地元の総合病院の看護師をしていたのもありますが、小さい時に肺炎にかかり、地元の病院でお世話になったことがありました。その時に担当の看護師が男性の方で、すごく優しく話しかけてくれたことが印象に残りました。大学ですが、「京阪大学」の医学部・保健学科に進学して、卒業と同時に看護師と保健師の資格を取得しました。ちなみに中学・高校は府内の私立中高一貫校を卒業しました。学生時代はサッカー部に入っていて、中高大と10年間サッカー三昧でした(ワラ)。大学卒業と同時に大学の系列である今の病院に入職しましたね。(稜太)

そうなんですか。仕事はやっぱり小児医療を目指していたのですか?

>いえ。一番希望していたのがICU高度救命救急センターといった、急性期の看護でしたね。しかし、希望に外れてしまい、たまたま配属になったのが今の部署です。どこの大学病院でもそうですが、ICUや救命は男女を問わず、すごく人気のある部署で、なかなか配属になるのが難しいんですよ。一般病棟に比べて仕事はすごくハードですが、とてもやりがいのある仕事なので、外れてしまったときはがっかりしました(ワラ)。でも、今は小児医療もすごくやりがいがありますし、ぼく自身はジュニア診療科の病棟の所属ですが、よきお兄さんとして、患者の中高生に接しています。患者と接することで、自分も看護師として成長させてもらっています。(稜太)

ちなみに看護師は何人いますか?

>看護師は全病棟・外来合わせて1000人以上いますが、そのうち男性は70人前後です。こども医療センターでは、全体で100人前後の看護師がいて、そのうちぼくを含め、10人の男性看護師がいます。(稜太)

男性看護師の数って結構多いですね。病院では一番多いですか?

>西日本では一番多いですね。東では東京の「慶明大学病院」さんが一番多いです。でも、全国的には10人前後しか男性看護師を受け入れている病院がほとんどで、いずれは将来的には増えていくと思います。大学の友人の中には看護師の資格を取得してから、介護の現場で活躍したり、救急隊の職員を目指して、救急救命士の専門学校に進学した方もいます。(稜太)

看護師の方は全員「京阪大学」の卒業生の方ですか?

>いえ。そんなことはないですよ。他の大学や看護学校を卒業した方もいます。関西以外の遠隔地の方には寮も完備しているので、安心して生活することができます。ちなみに「京阪大学」医学部・保健学科は、かつてあった「京阪大学医療技術短期大学部」を改組した比較的新しい学科で、資格は看護師だけでなく、臨床検査技師理学療法士作業療法士などの資格も取得することができます。取得できる資格は専攻するコースによって異なります。(稜太)

看護師以外の職員の方はいますか?

>はい。医師はもちろん、ほかの医療技術者もいます。部署によって異なりますが、理学療法士作業療法士臨床検査技師診療放射線技師社会福祉主事精神保健福祉士、管理栄養士などがいます。こども医療センターでは、医師や看護師、助産師をはじめ、社会福祉主事やCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)、プレイルームにいる保育士がいます。2Fの児童・思春期精神科では精神保健福祉士作業療法士もいます。(稜太)

患者さんは誰でも病院へ行くことができますか?

>いえ。うちは最新の高度医療をモットーとした先進医療機関ですので、基本的にはかかりつけの病院・クリニックの医師の紹介状がなかったら診療を受けることができません。紹介状なしで診療を受ける場合は「選定医療費」が別途必要になります。選定医療費は病院によってまちまちですが、5,000円~1万円以上はかかります。うちの病院では5,000円の選定医療費を支払うことになります。医師の紹介状があれば、選定医療費は必要ありません。ただし、紹介状がなくても、重度の症状で救急搬送された患者の場合はこの限りではありませんが。(稜太)

看護師で気になるのはやっぱり夜勤ですよね。仕事では夜勤はありますか?

>はい。あります。うちの病院では2交代制で、週に1回は必ず夜勤があります。病棟勤務では必須ですね。外来では日曜祝日を除き、平日と土曜の朝から夕方までの勤務ですので、子育て中のママさん看護師たちが多く活躍しています。土曜日の外来は診療科によって異なりますので、土曜日の勤務がある方とない方がいますね。ちなみに土曜日は午前中のみの診療です。(稜太)

仕事でつらいことってありますか?

>ありますね。いろいろありますが、患者が亡くなった時が一番つらいですね。特に子どもが亡くなることがこんなにつらいことって他にないですよ。ぼく自身は10代の患者が相手ですので、重い病気で10数年の短い生涯が終わることって、やっぱり悲しいですよ。特に1年目の時は立ち直れなかったことがありました。今はだいぶ慣れてきましたが、退院する予定の担当の患者には必ずメッセージを書いて渡しています。(稜太)

メッセージって、どんなことを書いていますか?

>「勉強やスポーツは一人前にならなくていいから、命だけは絶対に大事にしろ。自分だけでなく、家族や友達もみんな一緒。いろいろな境遇であっても、みんな同じ命。この世の中にはなくなってしまえばいい命なんて絶対にない。もし家族や友達につらいことがあったら、今度は君が相手を助けてあげてほしい。絶対に、絶対に命だけは大事にしろよ!」って書きますね。(稜太)

すごい!どんなことがあっても命が一番大事ですよね。私は大きな病気をしたことがないですが、自分も家族も友達の命も絶対に大事にします。

かわって、仕事で一番よかったことってありますか?

>やっぱり患者が元気に退院することですね。これまでいろいろな患者を見てきましたが、退院した患者から「ありがとう」って言われると一番うれしいですね。つらくてハードな仕事も患者の笑顔で気持ちが楽になります。もし看護師にならずに、普通のサラリーマンになっていたら、朝から晩までつらい仕事ばかりで、やりがいが感じられなかったと思います。看護師の給料とサラリーマンの給料はさほど変わらないんですが、サラリーマンはいつ会社がなくなるかわからないですからね。(稜太)

最後に今後の夢を教えてください。

>まずは患者からも家族からも職場の同僚からも慕われる看護師を目指しています。まだ途上ですが、目標としているのがぼくの母親ですね。あと、小児救急の認定看護師の取得も目指しています。(稜太)

ありがとうございます!

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いかがでしたか?患者さんに対し、心のこもった看護師たちが多い職場ですね。患者の子どもたちもとても活き活きしていました。

 

「職場」シリーズは11月にお送りします。次回は「梅の実」エリアの「地域」をお送りします。

 

以上、「学校・職場・地域丸かじり!」をお送りしました。

 

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