こんにちは。実泰(34歳・内科医)です。
今日は「ワクチン」についてお送りします。
ワクチンは感染症の予防に用いる「医薬品」で、病原体から作られた無毒化または弱毒化された抗原を投与することで、体内に病原体に対する抗体産生を促し、感染症に対する免疫を獲得します。
ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンの2種類で、注射によって接種をしますが、直接飲むタイプやスタンプ式のものもあります。
生ワクチンの種類は以下の通りです。
・BCG(スタンプ式)
・ポリオ(経口生ポリオワクチン。直接口に入れて飲むタイプ)
・麻疹(はしか)
・風疹
・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
・MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)
・水痘
・黄熱
・帯状疱疹
BCGは結核のワクチンで、現在は1歳未満の乳児(生後5か月以降8か月未満を推奨)が対象となっています。かつてはツベルクリンの注射をし、陰性の場合のみBCG接種が行われ、対象が幼児(4、5歳くらい)、小学1年、中学1年の3回をツベルクリン→BCGを受けなければなりませんでした。その後、高校、大学、社会人でX線検査を受けるシステムで、結核に対する効果がなく、逆に結核患者を増やしてしまったため、2005年からはツベルクリンは廃止され、BCGは乳児のみが対象となりました。
麻疹・風疹・おたふくかぜの混合ワクチンである「MMRワクチン」もかつてはありましたが、「無菌性髄膜炎」の発生率が高いことが問題になり、中止となりました。現在は日本では未承認となっています。
不活化ワクチンの種類は以下の通りです。
・インフルエンザ
・肺炎球菌
・Hib(乳幼児期のインフルエンザ菌(インフルエンザではない)による髄膜炎等の感染症予防ワクチン)
・狂犬病
・コレラ
・三種混合ワクチン(ジフテリア・百日ぜき・破傷風混合ワクチン)
・ポリオ(不活化ポリオワクチン)
・四種混合ワクチン(ジフテリア・百日ぜき・破傷風・不活化ポリオ混合ワクチン)
・日本脳炎
・百日ぜき
・A型肝炎
・B型肝炎
・子宮頸がん(HPV)
インフルエンザの予防接種はおなじみで、その昔は中学生以下を対象に学校内での集団予防接種が行われましたが、現在は廃止となり、任意接種となりました。インフルエンザの予防接種は年齢制限はなく、臓器移植後の免疫抑制剤服用のためにできない人など、よほどのことがない限り、誰でも受けることができます。接種は13歳以上が1回、12歳以下が2回接種となります。65歳以上の方は定期接種に指定され、公費助成が行われています。子どもの場合は基本的に助成はありませんが、自治体によっては公費助成が行われています。大半が小学生以下までですが、地域によっては中学生や高校生、妊娠中の女性の方も対象になっています。大手企業で健康管理室(保健室・医務室など)を設置していたり、附属病院を設置している場合は、その会社で働く社員たち(非正規社員も含む)を対象に通常の医療機関よりも割安で予防接種を受けることができます。
肺炎球菌は肺炎や急性中耳炎などに感染するウイルスで、肺炎は65歳以上の死亡原因の一つとなっています。ワクチンは成人用と小児用の2種類があります。
狂犬病ワクチンは犬は法律で予防接種を受けさせなければなりませんが、人間用の予防ワクチンもあります。任意接種ですが、海外で渡航される方は受けることをおすすめします。
子宮頸がんワクチンは2種類あり、日本では中学生から高校生までの女子を対象に接種がありますが、ワクチンの副作用で脳や神経系の障害が発生し、死亡や高度障害が相次いで起こっています。子宮頸がんワクチンで被害に遭った女性とその家族が国や製薬会社を相手取り、裁判で争っています。
他には海外渡航者を対象とした未承認ワクチンや犬やねこを対象としたワクチンなどがあります。犬やねこのワクチン接種についてはかかりつけの動物病院にて相談の上、予防接種を受けさせてください。尚、犬の狂犬病予防接種は法律で義務付けられています。C型肝炎ワクチンについては開発中で、完成して日本での承認が下りれば可能になるかもしれません。
ワクチンは接種すればその病気にならなくなるか仮になっても軽く済みますが、副作用になるケースもあり、中には死亡するケースもあります。ワクチン接種については家族と相談してから受けるようにしましょう。
各ワクチンの対象年齢や接種方法についてはホームページにて確認してください。ワクチン接種を受ける際はお近くの医療機関でお願いします。
というわけで、実泰でした。
また明日。お大事に。
*参考リンク*
国立感染症研究所:https://www.niid.go.jp/niid/ja/
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