梅の実学園の仲間たち

梅の実学園のメンバー(生徒)たちの物語です。現在のメンバーたちは4800人(匹)!!みんなで作る学園です!!

もう家にいない方がいい!

*前回の記事はこちら!→http://umenomi-gakuen.hatenablog.com/entry/2018/01/26/200000

こんばんは。秀美(義務教育学校7年)です。

いつものように学校で、いつものように家に帰る。本当につまらないです。

家に帰ったら、塾に行かなければならないので、塾へ行く支度をしないと。

 

帰る途中…。

男「何やってるんじゃ!!オラアアアアアアア!!!!!!どつき回すぞ!!!!!!!」

年配の男性の怒鳴り声。窓ガラスが割れるような物音。その家の表札を見ると、光子(小6)の家!!

光子「お父さん、ごめんなさい、ごめんなさい!今度気をつけます!!」

男「じゃがましいんじゃ!!働きもせんとのこのこと居候しやがって!!」

光子の父親らしき男が光子に暴力を振るっている!!

助けたいけど、そんな勇気がない…。

 

そうだ!警察に電話しないと!!

電話をしたけど、警察は私のことを子ども扱いしていて、相手にもしてもらえなかった。

どうしよう…。

「どうしたの?」

そこには「梅の実」のメンバーで、小学校の先輩である翔太くん(中2)だった。

秀美「光子が…光子が…。」

翔太「いったい何!?落ち着いて!!」

秀美「光子が、お父さんらしき男に暴力を振るわれているんです!!何とか助けないと!!」

翔太「光子が!?確か妹(美沙希・小6)が光子の様子を気にしていたみたいだし…。警察には連絡はしたの?」

秀美「したけど、誰も相手にしてもらえなかった。」

翔太「わかった。メンバーたちに連絡してみる。」

翔太くんは「梅の実」のメンバーにLINEメールを送った。私は携帯を持っていなかったし、LINEもやっていなかったので、こういう時に携帯を持っていればなって思った。

すぐにLINEメールが届いた。

>今警察に連絡したよ。もうすぐ光子の家の前にパトカーが到着するから。(初・大学4年)

初さんからのLINEメール。

 

と、私たち2人が光子の家の前にかけつけると、すでにパトカーが到着していた。

男「うるせーな!!離せや!!」

男が警察官に同行されて、逮捕された。

「やっと逮捕されたか。」

と、現れたのは「梅の実」メンバーの一美さん(32歳・不動産会社勤務)だった。

翔太「みたいですね。」

一美「初くんが機転を利いてくれたから、やっぱり早いわ。光子ちゃんの様子はずっと気になっていたんだよね。」

秀美「知っていたんですか?」

一美「ちょっとね。私もあの家の前に通りかかるから、ちょっとおかしいなって思った。」

と、玄関先には光子が憔悴しきった様子で立ちすくんでいた。

一美「光子ちゃん!」

光子「…!」

一美「大丈夫!?けがはなかった?」

光子は首を横に振った。

翔太「一美さん、これ…。」

一美「え?何?」

と、光子の腕には男に殴られたと思われるあざがあった。

一美「これ、あの男に殴られたの?お母さんには言わないから、はっきり言ってちょうだい!!」

光子「…お父さんに…殴られた…。」

と、さっき逮捕された男は光子の父親だった。私たち3人は驚いた。

一美「とにかく、別の場所に行きましょう!!光子ちゃん、荷物に服や勉強道具などを準備して!!この家を出た方がいい!!」

と、一美さんは女性メンバーたちの携帯に連絡して、おうちにお邪魔してもらうことにした。しかし、なかなか泊めてもらえる人はいなかった。

 

それからしばらくして、香奈恵さん(40歳・管理栄養士)一家の家にお邪魔することになった。

香奈恵「わかった?場所は?」

一美「ちょっと迷いましたが、お隣の町なので、地図を見ながら見つけました。」

香奈恵「おなかすいたでしょ?ありあわせで何か作るから食べる?」

光子「…。」

翔太「秀美、親には連絡しないの?」

あ!そうだった!今日は塾があるんだった。

秀美「あの、私、用事があるので、これで…。」

一美「待って!第1発見者はあなたでしょ?あなたはいてもらわないと困るから、私が親御さんに連絡するから。電話番号は?」

と、私は母親の携帯番号を伝えて、一美さんは母親の携帯に連絡した。

一美「お母さんに連絡して、遅くなるって言ったわ。塾は休ませてもらうことにしたから。」

秀美「すみません…。」

と、インターホンの音が。香奈恵さんが玄関のドアを開けると、初さんだった。

初「捕まった?」

一美「ええ。光子ちゃんはここにいるから。」

初「茂樹(大学3年)はバイトがあるから来れないし、夏菜さん(24歳・アパレル会社勤務)も俊夫さん(36歳・証券会社勤務)も仕事があるから無理だし、それで代わりにオレが。一応支部の責任者だし。」

一美「ありがとう。」

羽空(小5)「お母さん、おなかすいた。」

香奈恵「待って。今作るから。あ、お茶入れるから、温まって。羽空、ちょっと部屋に戻ってちょうだい。」

羽空「え~何?」

 

しばらくして、香奈恵さんが人数分のお茶を入れて持ってきてくれました。

一美「あ~おいし~。」

翔太「ちょっと寒かったから温まりましたね。」

初「いったいどういう経緯だった?」

一美「光子ちゃんが父親に殴られたの。しかもあざまでできてる。」

初「…ひでえな。」

翔太「何でお父さんに殴られたか、ここにいるみんなに話してもらえないかな?だまったって何の解決にもならないし、お前が話すことで、みんなが味方になるし。実はぼくの妹の美沙希がお前のことを気にかけていたんだぞ。ここのところずっと様子がおかしいって。」

一美「そうよ。お母さんには言わないから、ちゃんと話してちょうだい!」

光子「…私、お父さんに殴られるの、お母さんにも殴られるの…私が家のお手伝いをして、いい子にしなかったら殴られるの…。」

翔太「きょうだいはいるの?」

光子「…弟…でも、弟は殴られずに親はずっとべったり。私よりも弟の方が気に入っているから…。」

初「もしかして、父親か母親のどちらかが光子は子どもではないってことかな?」

光子「…お父さん。弟はお父さんとお母さんとの間に生まれた子どもで、私はお母さんと前のお父さんとの間に生まれたの…お母さん、前のお父さんと離婚して、私と一緒に住むことになったの…前のお父さんは離婚した後は新しいお母さんと一緒になって、会っていない…そして、お母さんは今のお父さんと再婚して…でも、今のお父さんは私のことを気に食わなくて、再婚した後も私をいじめるの…だから…だから…嫌だ…。」

f:id:umenomi-gakuen:20171227164555j:plain

光子は泣き出した。泣いて震える光子を一美さんが抱いた。

一美「つらかったね…もう、あの家にはいない方がいい!!あなたには逃げ場が必要!!誰が何を言おうと、家には帰っちゃダメ!!」

翔太「とりあえず、児童相談所に通報したほうがいいですよね。」

初「児童相談所なんて何の役にも立たないよ。虐待で子どもを犠牲にさせているのをずっと知っているし。海斗(小3)だって、親から虐待にあった時なんか児童相談所は全く動かなかったし。」

一美「そうね。児童相談所はまったく機能していないしね。弁護士に相談するのは?」

翔太「うちのチームには弁護士はいないよ。他のチームにはいるかもしれないですが。」

初「中央と中央南には1人ずついるけど、借金関係が中心だからな。」

香奈恵「文子先生(41歳・弁護士)のところは?あそこは親身になって相談してくれるけど。その前に、ご飯作ったから食べなさい。動くのはその後でね。」

香奈恵さんは家族の分のご飯と一緒に、私たちの分のご飯も作ってくれた。カレーとサラダだった。

翔太「おいしい!家で食べるカレーとは全く違う味。」

一美「ホント。おいしい!なんか生き返る~。光子ちゃん、食べよ。」

光子「…おいしい…。」

翔太「よかった。」

そしてこの後、光子を香奈恵さんの家に泊めてもらおうとしたが、他の家族がいるため、ダメだったので、しばらくは一美さんの家に泊まることに。

 

数日後、一美さんは光子を連れて、文子先生のところに相談に行った。そしてすぐに動いてくれた。文子先生は児童相談所に直訴し、光子を親から引き離すことと、受け入れ先の児童養護施設をあっせんしてもらった。

児童養護施設は学校の近くを探していたが、なくて、かなり遠い地域の施設だったら空いていたそう。

しかし、光子は遠い児童養護施設に行くのを拒んでおり、一美さんは自分の親と相談して、光子を一美さんの家に引き取ることに。学校近くの施設が見つかるまでの間だそう。

光子の母親はすぐに帰してくれって訴えているが、「子どもが安全に安心して生活ができることが先だ!」と、文子先生が猛反発したため、親権も停止させ、会うことも禁じた。普通なら親に会わすのだが、虐待が日常的に起こっている以上、やむを得ない行為だと思う。

 

子どもの虐待は子ども本人が訴えようとしても、大人側が無視をし、訴えることさえできない。特に小さい子どもはなおさら。子ども本人が虐待を相談できる場があれば、多くの子どもの命が救えるはずだ。

私は、親に怒られることはあっても、虐待まではない。しかし、他の家の子どもたちは日常的に虐待をされている子がたくさんいる。

子どもの虐待をなくすには、子どもからの相談が必要。これ以上、犠牲者を増やさないためにも…。

 

ランキングに参加しています。ぽちっと押してください!

にほんブログ村 イラストブログ イラストエッセイへ
にほんブログ村

にほんブログ村 イラストブログ オリジナルイラストへ
にほんブログ村


エッセイ・随筆 ブログランキングへ


イラスト ブログランキングへ