梅の実学園の仲間たち

梅の実学園のメンバー(生徒)たちの物語です。現在のメンバーたちは4800人(匹)!!みんなで作る学園です!!

不登校…そして留学

ボンジュール!知代(17歳)です。

私はベルギーに住んでいます。しかも単身です。

親元を離れて、自分からベルギーへ行きました。

おわかりでしょうか…海外留学です。

 

私は現在、ベルギーの「二次学校」に通っています。二次学校とは、日本でいえば中高一貫校のような学校。反対に「一次学校」は日本では小学校のような学校です。

義務教育は開始が6歳なのは日本もベルギーも一緒ですが、修了年齢が日本では15歳の中学3年までですが、ベルギーでは18歳までです!しかも一次学校も二次学校も日本のような入試はなく、好きな学校に選択することができます。入試があるのは大学の一部学部だけ。大学進学も二次学校卒業のための資格試験に合格すれば、希望する大学に進学することができます。

校則はほとんどなく、制服もありません。派手でない限り、化粧もピアスもOKなのです。

そのかわり、ベルギーでは一次学校の1年修了段階から落第があります。日本では高校の2、3年進級時に落第があるだけ。小学校から高校を通じて、日本にはない飛び級はベルギーではあります。それでも落第や飛び級をした生徒の特別扱いやいじめはありません。

 

家は同じ学校に通うジュスティーヌ(17歳)の一家のおうちにホームステイ。最初は言葉の壁で慣れませんでしたが、ジュスティーヌのお母さんが優しく話しかけてくれたことで奮起し、次第にファミリーとも学校の生徒や先生たちとも溶け込めるようになりました。

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私がベルギーに留学した理由についてですが、日本にいた時がきっかけです。今日はそのことを話したいと思います。

 

~4年前~

私は神奈川生まれの神奈川育ち。家族は父親の克明(46歳・造船会社勤務)、母親の範子(43歳・翻訳家)、弟の克麻(中1)、私の4人家族。父親は大手造船会社のエンジニア、母親はフリーの翻訳家兼通訳、弟は当時小学生の男の子でした。

小学校は地元の「幸小学校」を卒業しました。小学校では友達とも仲がよかったし、とても楽しく過ごしました。

 

しかし、中学校に入学したとたん、問題が起こったのです。

中学校は地元の「幸中学校」に進学。真新しい制服に身を包み、学校の門をくぐりました。

ところが、学校に入った途端、異様な光景を目の当たりにしました。

同じ制服を着ていたせいか、みんな同じ姿で個性がない。先生はみんな厳しい目つきで怒鳴りつける。

私自身もきちんとした制服を着ていて、髪型もセミロングでしたが、肩にかかっているので、2つにくくらなければならない。制服はブレザーでリボンやネクタイがない。靴は白のスニーカーで靴下は三つ折りにしなければならない。ダサい制服でした。

カバンも学校の指定のもの。学校指定のもの以外のカバンを持って行くのは禁止。教科書も毎日持って帰らないといけない。

 

入学式の後にクラス替えがあり、仲の良かった友達とは別々のクラスになってしまい、同じクラスの子は全然知らない子や同じ小学校だった子でもあまり仲が良くなかった子ばかり。

勉強も様変わり。小学校よりも難しくなり、毎日の勉強についていかなければならない。しかも3年になったら高校受験がある。高校受験では受験勉強も余儀なくされるだけでなく、内申書で日頃の成績から学校生活まで学校側が管理される。

2、3年生の先輩たちの目が非常に厳しく、もし目立つような行為をしたら先輩たちににらまれる。

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そして、一番つらかったのはいじめでした。

入学してから1週間後に同級生の一部の女子からのいじめがありました。トイレに押し込められて、水をかけられたり、暴力を振るわれました。いじめは一部の女子だけでなく、クラス全員からいじめられました。

原因は私が学校の雰囲気におびえていたため、いじめの標的にされたのです。

クラス全員からのいじめは無視されたり、文具が壊されたり、暴力を受けられました。他にもいろいろ。

学校の先生には一切言いませんでした。言ってしまったら余計にいじめられる…。

 

誰にも相談できなくて、ついに学校に行かなくなりました。

部屋に閉じこもり、ずっと泣いていた。家族は最初は何も気づかなかったが、母親がおかしいと思い、私の部屋に。

範子「知代、早く学校へ行きなさい。」

知代「…。」

範子「知代、どうしたの?返事しなさい。」

知代「…しんどい…。」

範子「しんどいの?じゃあ今日は休んでいいから、明日は学校へ行きなさいね。」

と、こういった日が続きました。

さすがに同じことが1週間以上も続くと、親も疑問を抱く。

範子「知代、今日は学校へ行きなさい。」

知代「…嫌…行きたくない…。」

範子「知代、何で行かないの?」

知代「何もかもが嫌…学校には行きたくない…。」

範子「…わかった。無理して学校へ行かなくていいから。そのかわり、困るのはあんただからね。」

と、母親は学校へ行けとは言いつつも、私が学校へ行きたくない理由については細かく口出ししなかった。

 

しかし、これに業を煮やしたのは父親だ。

克明「知代!出てきなさい!!」

知代「…。」

克明「知代!!何で学校へ行かないんだ!!学校へ行かなければお前が一番困るんだ!!高校受験はどうするんだ!?中卒なんてわが家の恥だ!!」

知代「うるさいな!!行きたくないのは行きたくないの!!部屋には一切入ってこないで!!」

克明「いい加減にしろ!!」

 

”バシーーーーーツ!!!!!!!”

 

知代「何するんだよ!!」

克明「うるさい!!学校へ行かなかきゃダメだ!!今は義務教育だろうが!!学校へ行かない子はオレの子ではない!!」

範子「あなた!!やめて!!!」

克明「お前が甘やかすからだろうが!!!」

父親と母親は大ゲンカになった。それを見かねた私は…。

知代「やめて!!!2人とももう入ってこないで!!私の気持ちも知らないくせに、心の中まで覘いてこないで!!学校へ行くんだったら、死んだ方がまし!!」

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と、ドアに鍵を閉めて、ベットにこもって泣いた…。

 

次の日。私は家を出た。どこへ行くかの目的地はなく、ひたすら歩いた。

気が付けば、電車のホームに。電車が来たら飛び込んで死のう…。

電車が来て、飛び降りようとしたが、たまたまいた駅員が気づき、そのまま捕まえられて、警察に補導された。

あとで母親がやってきて、事情聴収をされた。

範子「知代…帰ろう…。」

私は涙が出た。声をあげて泣き叫んだ…。

知代「…もう…あの学校へ行くのは怖い…何もかもが地獄…もう…嫌だ…。」

範子「…もういいから…何も言わなくていいから…。」

 

それから私は学校へ一切行かなくなった。母親は学校に連絡して、「学校を辞めた」って言ってくれた。

学校側が何度も登校を要求されたが、そのたびに母親は断って、教師たちを突きつけた。

 

ある日、母親がネットで東京のフリースクールのことを知り、私に尋ねてきた。

範子「知代、ここ行ってみたら?毎日行くことではないし、よかったら一緒に見学に行かない?」

と、母親に勧められて、後日一緒に見学に行くことになった。

 

中へ入ってみると、違う年の子どもたちが遊んだり、勉強をしたりしていた。

フリースクールは小学生から高校生まで、不登校になってしまった子どもたちの新たな居場所。毎日通う必要はなく、好きな日に好きな時間に行くこと、自分のやりたいことをやるだけ。

そこでフリースクールの代表の方にお会いすることができた。代表の方の息子さんも中学時代に不登校になり、どうしたらいいかを考え、この施設を作った。

息子さんをはじめ、同じ不登校に悩む子どもたちがやってきて、口コミで知って、不登校の子どもたちがここに来るようになった。やがてメディアに取り上げられるほどになった。

息子さんは学校へ行かないまま中学を卒業し、通信制高校に進学しながら、フリースクールに通い、福祉系の大学に進学してそのまま卒業。現在は福島で震災で被災された子どもたちや不登校の子どもたちが対象のフリースクールを主宰し、不登校に悩む子どもたちに耳を傾けている。

フリースクールの子どもたちと一緒に遊んだり、輪の中に入ってくれてとても楽しかった。

 

いろいろ悩んだ結果、フリースクールに通うことになった。

フリースクールに来ると、自分らしさを取り戻すようになった。いろいろな年齢の子どもたちとも溶け込めるようになった。

 

中2の14歳のある日、高校生くらいの男の子がフリースクールにやってきた。その子は代表の方とあいさつをして、談笑をしていた。

その子はこのフリースクールの生徒で、中学卒業後にフィンランドに留学。たまたま学校が夏休みだったので、日本に一時帰国したのだ。

その男の子と話す機会があり、海外留学のことやその学校生活のことを語ってくれて、私はすごく触発されました。

 

海外留学…その方法があった。

海外だったら、自分のありのままを受け入れてくれて、無理なく現地の学校に通える。

私はネットで、アメリカやヨーロッパの学校教育について調べた。いろいろな国を調べた結果、ベルギーに興味を抱いた。

ベルギーは18歳まで義務教育だが、好きな学校へ進学できて、進路変更だったり、嫌なことがあったら、別の学校への転校も可能。校則もなく自由な学校が多いのも自分に合っている。

ただ、一つ問題なのは、語学の壁だ。英語は中学から習うので、単語も覚えないといけない。

でも、それでもベルギーに行きたい!まずは親を説得しないといけない。

 

私は両親にベルギーに留学したいと直訴をした。

当然ながら、両親は反対。特に父親は日本の高校に進学をして、高校を卒業してからでも遅くはないって言われた。

でも、私の決心は固く、親が何度も説得をしても気持ちは変わらなかった。

数日後、私の熱意に両親は負けてしまい、留学を認めてくれた。

ただし、条件があって、フリースクールに通っていても、中学を卒業してからにしてほしいとのこと。ベルギー母国語はフランス語やオランダ語、ドイツ語がメインなので、それらの語学を習得しなければならない。ただ、母親が語学の仕事をしていることもあり、ドイツ語やオランダ語は無理だが、フランス語はできるとのことで、母親にフランス語の特訓をすることになった。

 

それから親子で留学の準備をすることになり、フリースクールに通いながら、家ではフランス語の習得の勉強。フランス語はかなり奥が深いので、単語や文法、文章を覚えるのに必死。ひたすら猛勉強をしました。フランス語以外でも中学で習う勉強は通信学習で勉強。課題のプリントを提出したり、インターネットで先生とのやり取りをしたりしました。

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そして、中学卒業が近づき、進学する学校を母親がベルギーの行政とやり取りをしてくれました。いろいろ探した結果、今通っている学校に決まりました。パスポートとビザを取得し、留学の準備が整いました。

フランス語も日常会話ができるくらい上達しました。母親との特訓の成果です。

フリースクールは中学卒業まで通い、中学校へ行かないまま中学校を卒業しました。義務教育の学校に行かなかった人たちは「中学校卒業程度認定試験」を受けなければなりませんが、現役の生徒の場合は校長の裁量で、出席日数が足りなくても、義務教育を修了することができます。

 

ベルギーに行く際は母親が同行することに。父親と弟は空港まで見送りに来てくれました。

着いたときは街の雰囲気にびっくり!最初は母親と一緒にホテルで宿泊。現地の学校やホストファミリーにあいさつをし、そのまま生活をすることになり、母親とはここでお別れとなります。

母親と別れるのはさみしいけど、自分で決めた道だから、絶対にがんばらないと。

留学先ではいろいろな困難がありましたが、一つ一つ乗り越え、気が付けば周りの人たちと溶け込めるようになりました。

 

そして、17歳の今、学校生活がとても楽しいです。学校の成績のことで悩んでいても、ジュスティーヌらクラスメイト達が気にすることないよって言われました。日本では学校の成績のことで厳しく言われますが、ベルギーではそんなことはありません。成績のことで差別をしたり、けなすことはありません。一人一人の個性を尊重する雰囲気がベルギーにはあるのです。

日本では相変わらず父親は仕事、母親は家事をしながら好きな語学の仕事をしています。弟は私が通っていた(?)中学校に進学し、部活では水泳部に入っています。弟は私とは違い、シャイでのんびりとした性格。友達もそんなに多くはありませんが、親しい子はいるそうです。

 

不登校は小学生から高校生までたくさんいます。特に中1は不登校の数が多く、いじめも多いです。学校生活になじめない、いわゆる「中1ギャップ」です。中1ギャップは大きな社会問題になっており、国では「小中一貫校」を作って対策をしようとしていますが、小中一貫校は中1ギャップの根本的解決にはなりません。すでに開校済みの小中一貫校ではいじめや不登校が起こっていますし、自殺者も出ています。9年間同じ人間と接することになるので、人間関係が固定し、いじめが起こったら逃げ場がありません。小学5、6年生の社会生活まで奪うことになり、しかも高校受験からは逃れられない。何のメリットもありません。

不登校は学校に行きたくても行けない子もいれば、あえて学校に行かない選択の子もいます。義務教育の学校には行きたくないけど、高校に進学したい子はいる。ただ、高校に進学しても、人間関係を理由に中退や転校を余儀なくされる子もいる。

今の受験制度の問題が生徒たちの心を荒んでしまっています。受験は高校受験、大学受験、中学受験、小学校受験(いわゆるお受験)、そして就職試験と、各世代で受験戦争が熾烈です。特に高校受験は中学卒業後の受け皿がなく、厳しい受験競争に勝たなくてはなりません。内申書の問題も高校受験独特の問題です。

校則で厳しく締め付ける「管理教育」も大きな問題です。校則は小学校や高校でも厳しいですが、特に中学校は服装から髪型、持ち物、学校生活まで全て管理されます。校則のない自由な中学校もありますが、それは一部の私立の進学校だけ。多くの学校では厳しい校則に従わなければなりません。「いや」と言っても許してくれません。

これら受験制度や管理教育が不登校の大きな原因です。今の学校や教育委員会、国はそれがわかりますか!?これらを解消しない限り、不登校は減らないと思います。

日本にいる「梅の実」メンバーの中にも不登校の子はいます。原因はさまざまですが、学校に対する不満は私と共通します。

 

将来は学校の先生を目指しています。いじめや受験、管理教育のない、本当に子どもが幸せになれる教育を目指したいからです。不登校を経験しているからこそ、そのつらさがわかるからです。

卒業までまだまだですが、いつかその夢が叶えるその時まで、私は第2の母国ベルギーでがんばっていきます。

 

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