梅の実学園の仲間たち

梅の実学園のメンバー(生徒)たちの物語です。現在のメンバーたちは4800人(匹)!!みんなで作る学園です!!

チャットジャッジ~義務教育にすべきなのは幼児?高校生?~

こんにちは。吉岡(31歳・小学校教師)です。

今月のチャットジャッジはこのお題です。

 

「義務教育にすべきなのは幼児?高校生?」

 

日本で現行の義務教育は小学生と中学生(中等教育学校(前期課程)や特別支援学校(小学部・中学部)、義務教育学校(仮)も含む)の6~15歳ですが、政府では5歳児から段階的に義務教育にしようとしています。

しかし、多くの学者等からは高校の義務教育も必要としているところが多く、どちらの世代もいろいろな課題があります。

海外では幼児の義務教育はイギリスなどごく一部。高校生の義務教育はアメリカやヨーロッパを中心に多くの国で行っています。

はたして、幼児と高校生、どちらを義務教育にした方がいいのでしょうか?

 

そこで、幼児を義務教育にすべきだというメンバー4人と高校生を義務教育にすべきだというメンバー4人をパネリストに迎えて議論したいと思います。

ファシリテーターは私・吉岡です。私自身、現役の教師をしています。

幼児派メンバーからは百合恵さん(34歳・主婦)、咲子さん(30歳・主婦)、青田さん(34歳・商社勤務)、夕香先生(24歳・子ども園教師)です。高校生派メンバーからは桃代さん(高1)、沙和子さん(45歳・惣菜店パート)、繁浩さん(42歳・建築士)、孝明先生(23歳・高校教師)です。

幼児派メンバーは幼稚園または保育園の子どもを持つ親、乳幼児の子育てに追われている専業主婦、一般の大人メンバー、幼稚園等の教師・保育士のメンバーで選出しました。百合恵さんは2児(大季・小2&綾祢・4歳)の母親、咲子さんも2児(蓮・0歳&蘭・0歳)の母親。夕香先生は神奈川県内の私立の子ども園の教師です。

高校生派メンバーは当事者である高校生、高校生の子どもを持つ親、一般の大人メンバー、高校教師のメンバーで選出しました。桃代さんは都内の公立高校に通う1年生。沙和子さんは大学生と高校生の子どもを持つ母親、孝明先生は神奈川県内の公立高校の教師です。

 

まずは幼児派メンバーからのプレゼンです。

>私は幼稚園の娘(綾祢)がいます。政府が掲げている幼児の義務教育化には賛成です。今の日本の親たちは子育てで疲れ果ててしまったり、子育てがまともにできない親が多く存在します。義務教育化にすれば子育て中の親は楽になりますし、小学校よりもより早い段階から学力を身に着くことができます。(百合恵)

>私は2人の子どもの子育てですごくしんどいです。保育園に預けようとしても空きがなかったり、無認可施設やベビーシッターは非常に高い保育料を徴収されます。義務教育化にすれば、誰でも幼稚園や保育園に入ることができますし、子育て中の親にとってはすごく楽になります。3歳までを義務教育化にする予定にしていますが、私は0歳からにしてほしいです!!(咲子)

>日本の学力は学習指導要領の改定で詰め込み教育が復活して、海外の学力テストでも上位になったが、それでも子どもの学力が伸びていないのが現状。早い段階から学力を上げるには幼児の義務教育が必要だ!!学力を伸ばすだけでなく、日本の愛国心を早い段階から身につけさせることもできる。私も幼稚園の子どもを持つ父親なので、政府の幼児義務教育化には期待している。(青田)

>3~6歳までの子どもの幼稚園や保育園の入園は90%に近く、子ども園の登場で、ますます幼児教育施設が重要になってきます。幼児教育の無償化や義務教育化で子育て世代の方たちの負担を軽減し、早い段階から教育を行うことができます。しかし、発達状況によっては子どもに大きな負担になるので、子どもの負担を軽減することや不登校をなくすことも課題となっています。(夕香)

 

他のメンバーからの意見があります。

>幼児世代の義務教育は多くが6歳からですが、イギリスと一部地域のアメリカ・カナダでは5歳からとなっています。私が住むメキシコでは3歳から義務教育となっています。メキシコでは幼稚園から中学校まで国を挙げて義務教育にし、学費の無償や識字率の向上に成功しています。ちなみにメキシコでは高校も義務教育になり、3~18歳までの全ての子どもが対象になりました。(リンダ・19歳)

>現時点では義務教育になっていませんが、一部の幼稚園や保育園は小学校との連携を行っています。幼稚園や保育園の子どもが小学校の様子を身近に感じる機会になりますし、小学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんが小さい子どもの遊び相手や面倒を見ることで、社会参加ができる第1歩となります。幼児の義務教育化は小学校と密接しやすくなるメリットがあり、小学校は中学校との小中一貫校(義務教育学校)が正式にスタートするため、地域によっては幼稚園・保育園、小中一貫校の12年ないし15年間の一貫教育が可能になってきます。(徹・小6)

 

高校生派メンバーからの反論です。

>私は幼児を義務教育にするのはかわいそうです!!小さい子どもはいろいろな問題を抱えている子もいます。親たちの都合で子どもを犠牲にしないでほしい!!(桃代)

>5歳以下の義務教育は早すぎると思います。子どもの発達がまだ完成されていない段階で、小学校等の教育を前倒しにするのは子どもに大きく悪影響を及ぼしますし、保育園の待機児童の問題を解消しないまま義務教育にするのは本末転倒です!!(沙和子)

>義務教育の最低年齢は6歳がベストですね。それ以下だと子どもがおかしくなります。(繁浩)

>やはり保育園の待機児童の問題を解消しない限り無理だと思います。これ以外にも無認可施設に通う幼児もいますし、経済的理由等で幼稚園等の施設に行けない子もいます。保育園の待機児童の解消と同時に、職場での子育て支援、若者が安定した職場で仕事ができる就労支援をしなければならないと思います。(孝明)

 

続いて、高校生派メンバーからのプレゼンです。

>私は都内の公立高校に通っています。厳しい受験競争の末に何とか進学ができました。私の家では経済的理由で私立高校の併願受験ができず、公立高校しか進学できなかったです。高校受験をなくすには高校を義務教育にする以外ないです。海外では多くの国が義務教育になっているのに、何で日本は高校生の義務教育にはしないのですか!?ほとんどの子が高校に進学しているのに、あまりにもおかしいと思います!!(桃代)

>私は高校2年生の息子を持つ母親です。息子は地元の公立高校に進学しています。高校の義務教育は必要だと思います。私たち家族をはじめ、全国の中学3年生のほとんどが高校に進学しています。大学進学に関しても高校を卒業していないと受験ができないですし、就職に関しても高卒以上の学歴の人は最低でも必要です。中卒の就職は昔に比べて厳しくなっていますし、給料の面でも中卒と高卒では明らかに差があります。中学を卒業した高校生たちの学力が落ちたり、中学校レベルの勉強ができない高校生も多く存在します。こういったことを考えると、高校の義務教育は必要ではないでしょうか?(沙和子)

>高校進学率は90%以上に達しています。中学受験を経験した中高一貫校の生徒も含めると、ほとんどの子が高校に進学しています。高校は一般的な全日制だけでなく、定時制や単位制、通信制などいろいろな形態で進学している生徒もいます。高等専修学校でも単位制サポート高校との連携で高校の卒業資格がありますし、高専の3年間は高校の課程も少し勉強します。私も子どもを持つ父親なので、子どもたち2人(華蓮・小5&優樹・小3)は最低でも高校には進学させたいです。政府は高校の義務教育を最低でも海外と同じ16歳にすべきで、最終的には18歳までの義務教育にすべきです。そうならないと、海外とは遅れてしまいます。(繁浩)

>ぼくは神奈川の公立高校の教師をしています。高校の生徒たちは多様化しています。中学レベルの学力が伸びていない生徒も多く、教師側が生徒たちに対し、中学校の教育課程を一からやり直さなければならないです。保護者も多様化していて、モンスターペアレントは高校でも多いです。経済的理由で高校の進学が困難な家庭も多く、幼児と同様に子育て・教育支援をしなければならないです。高校の無償化民主党時代に戻して、誰でも無料になるよう改正を行い、同時に義務教育にしなければなりません。無償化は国公立では必須です。高校受験制度についても見直さなければならないと思います。(孝明)

 

他のメンバーからの意見があります。

>高校の義務教育はヨーロッパをはじめ、アメリカやオーストラリアなど多くの国で行っています。多くが16歳までですが、オレが住むベルギーでは18歳までが義務教育です。ベルギーでは国を挙げて6~18歳までの子どもの義務教育を行っています。義務教育期間中であっても、学校を自由に選べることができますし、受験は一部の大学だけで、それ以外の大学と中等教育以下の学校ではほとんどありません。18歳までの義務教育を行っている国は他にもオランダや一部のアメリカなどが行っていて、モンゴルなどでも18歳までの義務教育を検討中です。(ティボ・20歳)

>中学生のほとんどが高校の義務教育を希望していますし、高校受験なしでエスカレーターで高校進学を希望している生徒が多いです。それに高校進学率が90%以上を超えています。義務教育にできるための救世主が「中高一貫校」です。中高一貫校はエリートを作ることや高校受験なしだと中だるみするなどの一部の日本人たちの批判が多いですが、中高一貫校中等教育のシステムでは世界的にも理にかなった学校・制度です。3年制の中学校と高校では各課程ごとのカリキュラムを組むので、その場しのぎの教育しかできないのですが、中高一貫校は6年間一貫して、時間をかけて教育をするので、確実に学力を身に着くことができます。あともう一つが日本では小学校から高校を通じて「飛び級」がないですし、「落第・留年」は小学校と中学校ではありません。一人一人の学力は個人差がありますし、全員が9年間の義務教育までに学力を身につけることは不可能です。日本の義務教育は「年齢主義」ではなく、「課程主義」に代えるべきです。能力のある子は上の学校・学年に飛び級ができるようにすべきですし、学力が身についていなかったら、落第や留年をして、わかるまで教育をすべきです。ただし、飛び級や落第・留年した子どもに対するいじめや差別、特別扱いをやめることが課題となります。(真衣・中3)

 

幼児派メンバーからの反論です。

>私自身も高校の義務教育をすべきだと思いますが、高校では受験があります。中高一貫校であっても中学受験がありますし、全ての中学生は高校受験は避けられないです。多くの日本人は高校の義務教育を希望している人は少ないと思いますし、高校受験の廃止を望んでいる人は少ないです。(百合恵)

>私自身も高校受験に失敗して、嫌な思いをしました。子どもの将来のことを考えると、子どもたちには高校には進学してもらいたいし、18歳までの義務教育をしてほしいです。子育て支援は幼児だけでなく、高校でも同じです!!(咲子)

>高校進学率が90%以上であっても、中卒で就職をしているやつもいるし、スポーツや芸術分野の各種学校に進学する生徒もいる。高等専修学校高専は普通の高校とは全く違う!こういった事情がある限り、高校の義務教育は不可能だ!!高校受験をなくすなんてもってのほかだ!!そういうやつは社会で甘えているやつばかりだ!!!(青田)

>経済的理由で高校進学をあきらめてしまい、くやしい思いをしている人たちも多くいます。海外で高校の義務教育が多く行われているのは時代の流れだと思いますし、高校までの教育は社会に出るためにも必要だと思います。中卒や高校中退者では就職ができる職場が限られます。資格や免許でも高校までの年齢の受験が可能でも、就職になると高卒以上の学歴が求められます。海外の流れに合わせるためにも高校の義務教育は必要ですし、高校生の保護者に対する就職支援や子育て支援も必要になってきます。幼児では発達が未成熟なので、義務教育には慎重にならなければならないですが、高校生ではある程度の発達は完成されているので、義務教育にしても何の支障もないと思います。ただし、小学校や中学校も含めて、不登校に対する支援や対策についても大きな課題だと思います。(夕香)

 

以上で終了です!!

ここで私がジャッジします。

結論は…世界の流れや発達の観点から、高校生の義務教育の方が優先!!ただし、幼児でも高校生でも義務教育にはあらゆる問題があります。

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海外の義務教育では、中国や韓国、ロシアなどでは日本と同じ6~15歳がほとんどですが、他の国では大きな違いがあります。幼児では5歳からの義務教育はイギリスやアメリカの一部地域など。最低でもメキシコの3歳から。多くが6歳からの義務教育が普通です。一方の高校ではヨーロッパやオセアニアでは多くが16歳まで。17歳までがカナダやアメリカの一部地域、ベルギーとオランダ、メキシコ、アメリカの一部地域が18歳までです。18歳までの義務教育は他の国・地域でも検討予定のところが多いです。

大学に進学するにしても、就職するにしても、高卒以上の学歴は最低でも必要で、給料でも中卒や高校中退と高卒では大きな差があります。中卒や高校中退者が大学に進学するにしても、高校に入り直してそのまま卒業するか高認(高校卒業程度認定試験)に合格しなければなりません。

しかし、高校の義務教育は高校受験制度の問題や中退者・留年の扱いの問題があり、一部の政治家・学者などは「高校まで義務教育にする必要はない」という考えを持つ人もいます。幼児でも保育園の待機児童の問題や無認可保育施設の問題、発達が未成熟な状態の子どもの義務教育は大きな混乱を招きます。特に発達障害知的障害を持つ子どもでは大きな打撃を受ける可能性が高いです。

幼児でも高校でも共通する問題は、「予算」です。予算は教育だけでなく社会保障や医療、介護、福祉公共事業、地域政策などあらゆるところで国の予算が使われます。他の予算について考えなければいけないとなると、幼児や高校の義務教育は後回しになると思います。

幼児や高校が仮に義務教育になったとしても、小学校や中学校と同様に「不登校」の問題が出てきます。日本の義務教育は「子どもが学校へ行く義務」という間違った考え方が横行しているため、子どもは学校へ行かなければならないプレッシャーになってしまします。不登校に対する抜本的な支援を行うだけでなく、義務教育の本来の意味を子どもから大人まで啓発をしていかなければなりません。

 

今日はチャットジャッジ・第29回目、「義務教育にすべきなのは幼児?高校?」をお送りしました。

 

*参考リンク*

世界の学校と義務教育(梅の実学園・なんでもマニュアル図鑑):http://umenomi-manual.hatenablog.com/entry/2015/07/09/140000

5歳から義務教育 文科省が方針 「小1プロブレム」の解決へ(The Huffington Post):http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/03/early-childhood-education_n_5441544.html

知育を軽視する日本の幼児教育が危ない (17) 「「5歳児から義務教育」報道にふれて」(こぐま会):http://www.kogumakai.co.jp/column/itraining/017.html

義務教育制度の改革の方向(文部科学省):http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05082301/007.htm

高校「無償化」の意味するもの(Benesse教育情報サイト):http://benesse.jp/blog/20100215/p4.html

中高一貫校がますます大学受験で有利なワケ 6年後のセンター試験廃止でも凋落しない(東洋経済ONLINE):http://toyokeizai.net/articles/-/60393

ウィキペディア(年齢主義と課程主義):http://wpedia.goo.ne.jp/wiki/%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%A8%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9

不登校って義務教育違反?(フリースクール 東京シューレ):http://www.shure.or.jp/futoko/iroiro/page10.htm

義務教育って誰の“義務”?(島袋舞先生の社会科講座・学校と若者):http://homepage3.nifty.com/tomorine3908/402mai_lesson/e2gakko/002.gimukyo.htm

 

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