こんにちは。佳奈(中1)です。
ウチは横浜に住む女子中学生。
おしゃれが大好きで、他の友達と同じことをするのが嫌いです。
学校は地元にある「山手中学校」。ごく普通の公立の学校です。
学校の校則はそんなに厳しくはないけど、先輩から受け継がれた「暗黙の校則」が厳しすぎるんです。
ウチら中1は、制服のリボンを下げてはダメ、スカート丈も短くしてもダメ、カバンはリュックオンリ…ととにかく厳しい。中2や中3の先輩陣は、スカート丈もみんな短いし、みんな自由。
ウチはそれに反発して、髪もおろして、スカート丈も短くして、カバンも先輩たちが持っていく革製のバッグで登校した。
案の定、女子の先輩たちににらまれた。同級生たちもウチのことを無視はしないけど、敬遠されている。影では「勇気あるじゃん。」とか「先輩の言うことを聞かないサイテーな女。」とか「ウチはあーいうーことはできないや。」とかいろいろ言っているみたい。
学校へ行っても友達はいません。別に作るつもりはないし。気の合わない同級生たちと一緒に仲良しごっこをするのも疲れる。
親とはほとんど会話をしていません。父親は仕事で帰りが遅くてほとんど会わないし、母親は暇なときにネットサーフィンを楽しんでいる。
ある日。ウチは先輩女子たちににらまれ、ケンカになった。
先輩女子A「お前さ、中1のくせに生意気なんだよ!」
先輩女子B「いい加減にウチら先輩の言うことを聞いて、おとなしくするんだな!」
と、先輩女子たちはウチに襲い掛かる。…と、その時…
「やめろよ!!」
と、やってきたのは、同じ中学の先輩の晋吾(中3)だ。
先輩女子A「やばい!!行くぞ!!」
と、先輩女子たちはすぐに逃げた。
晋吾「大丈夫かよ。」
佳奈「ぜんぜん。いつものことだから。」
晋吾「これから海に行かない?」
佳奈「え?」
と、晋吾に誘われ、地元の海へ。
海に来ると心が癒される。
晋吾「お前、中1なのに、やるな~。校則破りの制服で。」
佳奈「別に。人と同じことをするのが嫌いだから。おかしくない?ロボットみたいで。」
晋吾「そうだよな。オレも中1からずっと校則を破っているし、バイクも無免許で乗っているし。」
佳奈「ていうか、無免許でバイクをのるのはダメでしょ。」
晋吾「いいじゃん。誰にも迷惑をかけないし。」
佳奈「そうじゃなくて、事故に遭ったらどうするの?みんなに迷惑かけるよ。ウチもそう。」
晋吾「…。」
しばらくは、会話がなかった。
2人で砂浜に座り、海を眺めていた。
晋吾はウチとよく似ている。中1からずっと校則破りの問題児。部活もすぐに辞めて帰宅部。
ウチはバドミントン部に入っているけど、ほとんど参加していないし。
なんかドキドキしてきちゃった。
そのすきに晋吾はいったんいなくなってしまった。
あれ?一人ぼっちになっちゃった。
ひとり寂しく海を眺めてみると…冷たい!…と、振り向くと、晋吾が戻ってきた。
晋吾「飲むか?」
佳奈「うん。」
と、晋吾はジュースを買って来てくれた。
晋吾「なあ…オレと付き合わないか?」
佳奈「え?」
晋吾「オレと接点が似ているし、一番話が合うと思うんだ。」
佳奈「無免許バイクをのるのをしばらく辞めるんだったら、考えるけど。」
晋吾「え?」
佳奈「だって危ないでしょ?こないだ無免許運転の少年の車が事故を起こして、相手を死なせてしまったニュースが後を絶たないし、被害者も加害者もなってほしくない。学校の校則は別に社会が必要とされているものではないけど、命にかかわる行為を破るのはどうかと思う。」
晋吾「…わかったよ。辞めればいいでしょ?」
佳奈「Yes!」
この海にいたことが2人の思い出の場。
学校にいるよりも、家にいるよりも、一番楽しい。
まだ付き合ったばかりだけど、ずっと一緒にいたい。
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