こんにちは。晴奈(高2)です。
コロナの第8派が襲来し、多くの感染者が増えている。
そんな中、お母さん(理緒子・42歳・学芸員)が東京都外にある母方の実家に帰ることが決定した。
去年まではコロナで自粛したが、今年は何とか帰りたいと、前から企画し、他の親族も集まる。
しかし、コロナの感染者が増えているのにもかかわらず、何で帰省をしなければならないのかが疑問だ。
我が家ではお父さん(日向生・45歳・新聞社勤務)は仕事があるためキャンセル。弟(裕馬・中3)は受験があるためキャンセルしている。
お母さんはせめて私と妹(美歩・中1)だけでも行こうと誘った。
晴奈「私は絶対に反対!コロナの感染者が増えているのに、何でおばあちゃんたちの家に帰らなければならないの!?」
理緒子「コロナでずっと帰っていないし、おばあちゃんもおじいちゃんもどうなっているか心配だから、帰って顔を見なければと思って行くことにしたの。コロナは終息しかかっているし。感染しても軽く済むから、行こ。」
晴奈「行きたくない!!おじいちゃんとおばあちゃんに会うんだったらリモートがあるじゃない!!」
理緒子「おじいちゃんもおばあちゃんもリモート使いこなせないから、直接会った方がいいの。美歩もおじいちゃんとおばあちゃんに会いたいよね。」
晴奈「美歩、あんたは小さいときに病気しているから、いつ再発するかわからないんだよ!!絶対に行っちゃダメ!!」
理緒子「何言っているの?コロナは弱毒化しているんだから、子どもがかかっても問題ないの。何が何でも行くよ!」
晴奈「そっちが何を言ってるのだわ!!おばあちゃんちに行っても、そこでおじいちゃん、おばあちゃん、親戚みんな感染させたらどう責任を取るの!?」
理緒子「大丈夫だって。コロナは感染しない、感染してもかぜ程度だから。」
晴奈「子どもでもコロナは重症化するんだよ!!子どもでも死んでいる子はいるよ!!それにウチら3人はワクチンを受けていない。ワクチンを打っていないのに帰省させるのは殺人行為だよ!!」
理緒子「大丈夫よ。子どものコロナはただのかぜだから、大丈夫。マスクをしなくても大丈夫だから。」
晴奈「そんなのウソだ!!ある人から聞いたの。子どもはワクチンをしたらダメなのはデマなの!!」
理緒子「その人が言っていることがデマでしょ!!なんでそんなことを言うの!?お母さんは晴奈たちのためにワクチンは受けさせてないのよ。マスクも一切ダメ!!ちゃんとコロナ前に戻ってよ。ね、美歩、おばあちゃんのところに行きたいでしょ?」
美歩「…私…おばあちゃんのところに行きたい!ずっと会ってないから行きたい!!」
理緒子「よかった~。晴奈が行かないんなら、お母さんは美歩を連れて行くよ。」
晴奈「そんな…。」
お母さんは私の反対を押し切って、実家に帰省することになった。しかも妹を連れて。
数日後、私は早めに起きて妹を行かさないように自分の周りの部屋を見たが、妹はいなかった。
家の中をどこを探してもお母さんと妹はいなかった。
晴奈「ねえ、美歩は?」
裕馬「出かけたよ。おばあちゃんの家に。お母さんと一緒に。」
晴奈「美歩はマスクはしてた?」
裕馬「してなかったよ。」
晴奈「え!?何で止めなかったの?」
裕馬「オレが起きたときにはお母さんも美歩もいなかったよ。友達からのLINEでマスクをしたお母さんとマスクをしなかった美歩を目撃してて、写真があるよ。ほら。」
晴奈「え!?」
お母さんは私に内緒で妹を連れて実家に帰った。
しかも妹はマスクをつけてなかった。
実はこの帰省が、妹の最期の別れだとは、この時私たち家族は知る由もなかった。
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