こんにちは。花津子(43歳・保健師)です。
今日は「世界エイズデー」です。
まずは「HIV」ですが、「ヒト免疫不全ウイルス」のことで、人の免疫細胞に感染してこれを破壊し、最終的にエイズを発症させるウイルスです。
エイズは「後天性免疫不全症候群」のことで、HIVウイルスが免疫細胞に感染・破壊しておこる病気で、症状は患者さんによって異なります。ねこでもエイズがありますが、それとはまったく異なります。
感染経路は圧倒的に性的感染が多いです。男女の性交で性分泌液に接触しておこります。他には輸血や麻薬のまわし打ちなどで血液中に侵入することで感染する血液感染や、HIVウイルスに感染した母親が妊娠・授乳し、その子どもがHIVに感染する母子感染があります。
HIVウイルスに感染した方は世界で約5000万人。ほとんどが中国や東南アジア、アフリカが多いです。日本では1985年に初めてエイズ患者が確認され、エイズ予防に関する法律が施行されました(現在は感染症法に引き継ぎ)。しかし、アメリカなどの先進国ではHIV患者が減少しているのに対し、日本では増加傾向にあります。日本では圧倒的に性的感染が中心。また、1980年代に血友病患者に対し、ウイルスを不活性化しなかった血液製剤で治療したことが原因で、多数のHIV患者、エイズ患者を生み出した「薬害エイズ事件」が発生し、裁判沙汰にもなりました。
HIVウイルスに感染し、やがてエイズを発症する病気ですが、日和見感染症、がん、結核、C型肝炎、神経系の障害、腎臓疾患、心疾患などです。HIV・エイズは内部障害として、身体障害者手帳を交付することができ、治療の際は公的支援があります。詳しくはお近くの役所にて相談してください。
HIV患者が無治療のままだと、やがてエイズを発症しますが、エイズの発症を遅らせるための薬が開発しているので、それを服用するとエイズの発症を遅らせることができます。しかし、薬は対処療法なので、エイズを完全に治癒することはできません。
しかし、HIVの感染を予防することができます。
まずはHIVの確定検査に行きましょう。HIVの検査は病院やクリニック、保健所で受けることができます。病院やクリニックでは有料ですが、保健所では無料で受けることができます。保健所では匿名で検査を受けることができますので、くわしいことはお近くの保健所、役所の保健衛生課などに相談してください。
保健所や病院・クリニックでHIV感染が分かった場合は、かかりつけの内科等で通知したうえで、大学病院や総合病院など、HIV・エイズを治療してくれる医療機関に紹介状を作成し、その医療機関にて治療をします。治療は先ほど言った通り、薬物療法が中心です。
まだHIVに感染していない方は次のように予防してください。
・男女(同性愛も含む)の性行為をする際は、男性は必ずコンドームを着用すること。女性用のコンドームもありますが、装着時に違和感があるなど、あまり普及していません。コンドームの着用はHIVを予防するだけでなく、性病予防にもなります。
・男女のいずれかの口に傷がある場合はキスはしない。
・HIVの確定検査は献血をやっている場所ではやらないこと。献血は輸血や病気の治療のためが目的ですので、HIV検査目的の献血は非常識です!実際にHIV感染者がHIV感染を隠して献血に行き、その献血をした血液を輸血をした患者がHIVに感染したトラブルが起こっています。HIVの確定検査は面倒でも、保健所や病院・クリニックで受けましょう。
また、HIV・エイズの予防は、各学校や職場、地域、家庭で啓発しなければなりません。
学校では中学・高校では保健の授業でHIV・エイズの教育をします。小学校では各クラスや学年ごとで授業やイベントを行い、教育や啓発をします。大学では学生たちが集まって、勉強会をしたり、学園祭などでイベントを開催します。
職場では職場内にいる保健師や産業医が講師になり、HIV・エイズの予防啓発をしていきます。職場内に保健師や産業医がいない場合は、保健所・役所にいる保健師を派遣し、予防啓発をしていきます。
地域・家庭では各地でHIV・エイズの予防イベントに参加したり、家族でテレビやラジオを通じて話し合うことが大事です。
HIV・エイズに関してくわしいことについてはホームページをご覧ください。
というわけで、花津子でした。
また明日です。
*参考リンク*
API-NET エイズ予防ネット:http://api-net.jfap.or.jp/index.html
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