花江(39歳・救命医)です。
今日は「新型コロナウイルス」についてお送りします。
新型コロナウイルスはコロナウイルスの一種で、コロナウイルスはかつて中国や韓国に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)も含まれます。
新型コロナウイルスはSARSなどに比べて感染力が強く、あっという間に人に感染します。中には犬や猫などの動物にも感染します。ウイルスは粘膜に入り込むことはできますが、健康な皮膚には入り込むことができず表面に付着するだけと言われています。物の表面についたウイルスは時間がたてば壊れてしまいますが、物の種類によっては24~72時間くらい感染する力を持っています。
新型コロナウイルスは中国の武漢の研究所で作られた人工的なウイルスではないかとニュースで報じられていますが、詳細については明らかにされていません。
この新型コロナウイルスで国内外の多くの方が感染し、中には亡くなった方もいます。
症状としてはかぜの症状と似ていますが、倦怠感や呼吸困難などが起こるのが特徴です。発熱は37.5以上が4日以上続いているかがカギとなりますが、4日以内でも呼吸困難などの症状が起こります。40代以下の若い方は味覚障害が起こります。中にはウイルスが血管に侵入して、脳梗塞やしもやけのような症状、川崎病のような症状を引き起こします。血管の症状は子どもから若い方に起こります。
新型コロナウイルスの治療法は残念ながらなく、対処療法しかありません。タイではインフルエンザ治療薬とHIV治療薬の併用治療、アメリカでは抗ウイルス薬による治療などで効果が上がっています。日本ではHIV治療薬による治療、インフルエンザ治療薬による治療、重症患者に対する「エクモ」という人工心肺装置による治療などを行います。国内外ともに治療に効果があるのが「アビガン」というインフルエンザ治療薬が今のところ一番効果が上がっています。しかし、これらは対処療法なので、一日でも早く新型コロナウイルスの治療薬の開発、新型コロナウイルスのワクチンの開発を急がなければなりません。
新型コロナウイルスは空気感染はありませんが、人のくしゃみやせきによる「飛沫感染」、人との接触による「接触感染」で起こります。そして、「3密」という環境下では感染する可能性が高いです。「3密」とは部屋を「密閉」、部屋の中を集団で「密集」、その部屋の中で集団で近い距離で人と接する「密接」。この「密閉」「密集」「密接」の条件をすべて満たした環境では集団感染する恐れがあります。新型コロナウイルスはこの「3密」の条件のある場所に行かないことが予防になります。人との距離は2mの間隔をあけなければなりません。
新型コロナウイルスの感染から避けるには「3密」のある環境のある施設や店舗、学校、会社へ行くことを自粛し、自分の家にいることを勧めています。
新型コロナウイルスの予防は「3密」を避ける以外には、手洗い・うがい・せきエチケットといった基本的な生活習慣が大事です。
手洗いは水道水とせっけんまたはハンドソープ(いずれも薬用のものが望ましい)で手全体と手首まできれいに洗います。こうすることにより新型コロナウイルスを洗い流すことができます。
うがいは水(うがい薬を使ってもOK)を口に含ませ、口やのどをうがいします。
せきエチケットはマスク着用が有効です。現在、市販のマスクは医療現場や介護施設、店舗などの業務用が優先され、家庭用は品薄状態となっています。布(できればダブルガーゼ)やゴム、ひもを使った手作りの布マスクを使うのもOKです。市販のマスクが手に入った場合はできるだけそのマスクを使うようにしましょう。新型コロナウイルスの感染者またはその兆候がある方は市販のマスク着用をお願いします。
もし、新型コロナウイルスにかかった方、またはその兆候がある方は直接病院に行かず、都道府県・市町村の保健所に連絡し、指定された医療機関を受診し、PCR検査を受けることになります。しかし、この対応は都道府県・市町村によってまちまちなので、お住まいの都道府県・市町村の新型コロナウイルス対策本部に連絡してください。
新型コロナウイルスは基本的な予防・外出自粛で感染者を減らすことができます。自分のために、周りのみんなのために、仕事以外の外出自粛、手洗い・うがい・せきエチケットを心掛けましょう。
というわけで、花江でした。
*参考リンク*
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(厚生労働省):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
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