こんにちは。吉村(41歳・内科医)です。
今日は新型コロナウイルスのワクチンについてお送りします。
現在も世界中で感染が拡大している新型コロナウイルス。
今年は変異種が流行し、医療崩壊が起こっています。
コロナ終息の切り札となっているのが「新型コロナウイルスワクチン」です。
新型コロナウイルスのワクチンは世界各国で研究開発をしており、すでに各国で接種が開始されています。
現在承認済みのワクチンは以下の通りです。
(mRNAワクチン(RNAワクチン))
・ファイザー(ビオンテックと共同開発)
・モデルナ
(ウイルスベクターワクチン)
・アストラゼネカ(オックスフォード大学と共同開発)
・ガマレヤ研究所
・カンシノ
・ジョンソンエンドジョンソン
(不活化ワクチン)
・シノファーム
・シノバック
・バーラト・バイオテック
mRNAワクチンは新型コロナウイルスのRNAの一部を利用したワクチン、ウイルスベクターワクチンは人や動物のアデノウイルスを利用したワクチン、不活化ワクチンはワクチンを死滅したもので作り上げたワクチンで、季節性インフルエンザのワクチンもこの部類です。
世界の国で多く利用されているのがファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3種類。ガマレヤ研究所はロシアの研究所で、「スプートニクV」という商品名で、ロシアを中心にヨーロッパで接種が行われています。シノファーム、シノバック、カンシノは中国の製薬会社で、主に中国や南米で接種が行われています。バーラト・バイオテックはインドの製薬会社で、主にインドで接種が行われています。ジョンソンエンドジョンソンはアメリカを中心に接種が行われています。
日本ではファイザーのワクチンの使用が認可され、現在は医療従事者と高齢者を対象に接種が行われています。モデルナ、アストラゼネカは5月に使用が認可され、同月に東京と大阪で政府(防衛省)による大規模接種が行われ、高齢者を対象にモデルナワクチンの接種が開始されました。6月下旬には職場や大学を対象に、「職域接種」がスタートし、モデルナワクチンを使用する予定です。年内には18歳以上の一般国民を対象にモデルナのワクチン接種が行われる予定です。アストラゼネカについてはあとでお知らせする副反応の影響で、国内の接種は見送りとなり、台湾やアフリカに輸出をする予定となっています。
日本もコロナワクチンを開発しており、現在は治験の段階です。日本のコロナワクチンは以下の通りです。
(mRNAワクチン)
・第一三共
(不活化ワクチン)
・KMバイオロジクス
(組み換えたんぱくワクチン)
(DNAワクチン)
組み換えたんぱくワクチンは動物や昆虫のたんぱくを利用したワクチンで、DNAワクチンはmRNAワクチンとは正反対に、ウイルスのDNAの一部を利用したワクチンです。
日本のコロナワクチンは主に18歳以上を対象に治験が行われ、本格的に使用ができるのは来年以降となります。
コロナワクチンの対象年齢はファイザーが12歳以上、モデルナ、アストラゼネカなどは18歳以上となっています。
妊娠中の女性は海外ではワクチンを受けることはできますが、日本では妊娠中の女性の安全性が確認されていないため、接種の努力義務からは外れています。一部の国でも妊娠中の女性の接種は禁止されているところがあります。
ファイザーでは12~15歳を対象とした治験で安全性が確認されたため、アメリカが緊急使用許可を申請し、5月の中旬ごろにアメリカでは12歳以上の接種が開始され、6月にはカナダやヨーロッパなどでもファイザーワクチンの12歳以上の接種が開始されました。日本では6月からファイザーワクチンの接種可能年齢が16歳以上から12歳以上に引き下げになり、一般の方と同じようにワクチン接種を受けることになります。ファイザーでは生後6か月~11歳までの子どもを対象とした治験を開始し、モデルナなども17歳以下を対象とした治験を開始しています。モデルナは早ければ夏ごろに接種可能年齢が18歳以上から12歳以上に引き下げの予定となり、ファイザー・モデルナともに生後6か月~11歳までの子どもは早ければ年内の引き下げを予定しています。
いずれにしても、18歳未満および高校生は保護者の許可が必要になるため、子ども本人がワクチン接種を希望する場合は、親はかたくなに反対はせず、ワクチンの副反応などを親子で勉強し合って、お互いが納得してワクチン接種に臨んだ方がいいでしょう。
しかし、開発があまりにも早いため、重大な副反応が懸念されています。
ファイザーではワクチン接種を受けた方の多くがだるさや注射部位の痛み、頭痛などが報告され、アナフィラキシーショックが発生した方も多くいます。日本では医療従事者を対象とした接種ではアナフィラキシーショックが50人以上おり、多くが女性でした。中にはくも膜下出血や脳出血などの脳疾患や心疾患を発症し、死亡した方がいます。しかし、ワクチンとの因果関係がはっきりしていないため、遺族が泣き寝入りするケースもあります。
アストラゼネカではワクチン接種を受けた方が体内に血栓が発生する副反応が起こっており、ヨーロッパや韓国では使用を一時中止する事態となりました。イギリスでは40歳未満の接種はアストラゼネカ以外のワクチンのみ推奨となりました。このため、18歳未満のアストラゼネカワクチンの治験が中止となりました。
ワクチン接種を受けた方はワクチン接種証明書が発行され、すでに多くの国民にワクチン接種がほぼ終了したアメリカやイギリス、イスラエルではコロナ前の日常に戻り、子どもの学校も再開しましたが、感染者が増加し、多くの方が亡くなっています。ワクチン接種を受けたのにもかかわらず、コロナに感染した人も多くいます。
ワクチンは特効薬ではありませんので、あくまでコロナ感染時に重症化を防ぐためのものです。ワクチン接種が終わっても、コロナが完全に終息するまではソーシャルディスタンスに基づいた日常生活は実施しなければなりません。手洗いや消毒の習慣やマスクの着用、人通りが多い場所へは通院や生活用品の買い出し以外は一切行かないこと、人が集まって会話をしたり、食事をしたりするのは厳禁。ソーシャルディスタンスに基づいた日常生活はコロナ感染予防のルールです。職場も医療現場や生活・物流の現場の仕事以外はテレワーク厳守。学校はオンライン授業または生徒・学生の人数を半分以下しか登校を認めない措置をしなければなりません。
全ての人たちがコロナワクチンが行き渡るよう、誰もが安全なワクチンが開発することを願うばかりです。
というわけで、吉村でした。
また明日。
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