*前回の記事はこちら!→https://umenomi-gakuen.hatenablog.com/entry/2021/02/24/160000
こんにちは。弥香(23歳・看護師)です。
利音(23歳・看護師)のコロナ感染騒動から1ヵ月が経ち、ウチはやっと謹慎が解かれて、仕事に就くことになった。
職場復帰前に理美さん(44歳・看護師)から連絡が入り、利音がコロナの重症から回復し、その後不整脈の手術を受けたとのこと。現在は退院して自宅療養中。
利音がいない病院ではいつも通りに仕事。でもなんか張り合いがない。
鎮(38歳・外科医)「〇〇(薬の名前)1mg準備して!」
弥香「…え?」
鎮「え?じゃないだろ!〇〇1mgだ。すぐに取りに来て!!」
弥香「あ、はい!」
鎮先生の担当患者が急変したため、すぐに薬を取りに行った。しかし…。
鎮「何やってるんだ!!違うだろ!!」
舞依(25歳・看護師)「何かありましたか?」
鎮「この看護師が私が依頼していた薬とは違う薬を間違えて持ってきた。何年看護師をやっているんだ!!」
舞依「どの薬でしょうか…すぐに取りに行きます!」
ウチはミスをしてしまった。鎮先生が気付いて患者に投与することはなかったが、その後、鎮先生と美緒子さん(36歳・看護師)にこっぴどく怒られた。
病院内ではウチがコロナに感染していないのに、「合コンナース」というレッテルを貼られて、患者や同僚たちからいじめを受けた。
ウチは肩身の狭い思いをした。雛乃(23歳・看護師)たちにも縁を切られ、病院に行くのも嫌になった。家に帰ってずっと泣いていた。
ある日、1通のグループLINEが来た。利音からだ!
>こんばんは!今日、森本先生(44歳・外科医)の診察を受けました。先生から順調に回復して、血栓抑制の薬の服用の必要がなくなり、職場復帰の許可を得ることができたので、明日から職場に復帰します!みなさんのおかげで、コロナも不整脈も乗り越えることができました。本当に感謝してもしきれません。本当に、本当にありがとうございました。この経験を機に、看護師としての自覚がさらに芽生えてきました。これからは多くの患者さんを支えていきたいです。みなさん、これからもよろしくお願いします。(利音)
利音が明日から職場に復帰することを報告した。
利音からのLINEが来て、他のメンバーから祝福のLINEが来た。
>わお!よかった!!おめでとう!!(巧都・23歳・看護師)
>よかったね。みんな待ってるよ!(舞依)
次の日。利音がコロナ感染から約3ヶ月後に職場復帰し、先生や先輩たちから祝福された。
利音は他の看護師メンバーからも好かれていて、先輩たちからも信頼されている存在。患者からも慕われていて、利音の人柄の良さが周りのみんなが集まってくる。
それに対してウチは仕事ができず、いつも美緒子さんに怒られてばかり。患者からは一部は仲がいい人はいるが、多くがウチを慕っていない。いつも医者などの高学歴の男との結婚を夢見てばかり。
利音は職場復帰したとは思えないほど仕事ができて、先生からの指示も的確に反応。患者の細かい気配りも上手だ。
その後、ウチがナースステーションに戻る途中に、患者と話していた利音と目が合った。
利音「…じゃあ、あとで来ますね。」
利音はウチのもとへ来た。
利音「何?」
弥香「あ、あの…ごめんなさい!」
利音「え?」
弥香「ウチのせいで利音がコロナに感染してしまって、周りに迷惑ばかりかけてしまった。合コンなんか行かなければよかったって、後悔している。ウチは早く結婚して職場を退職したいばかりに、いつも先を急いでばかりで…ウチは…。」
利音「そんなの気にすることないよ。」
弥香「え?」
利音「確かに弥香たちのせいでぼくがコロナに感染したのは事実だけど、やってしまったことは取り戻すことはできないよ。だけど、ぼくがコロナに感染したおかげで病的な不整脈が見つかって、治療をすることができた。逆にコロナに感染していなかったら、不整脈をそのまま放置して、命を落とすところだった。今は弥香がやってしまったことは感謝してる。ありがとう。」
”ポン!”
利音はウチの肩をポンと軽くたたいて、その場を去った。振り向くと、利音が手を振ってくれた。
弥香「え!?」
そのあと、利音は通りかかった他の患者に話しかけていた。
なんか、ドキドキしてきた。
利音とはいつもケンカばかりだけど、会うたびに胸が苦しくなる。ドキドキやモヤモヤがしてくる。
これって、恋!?
ウチはそう思った。
後日、「慶明大学病院グループ」では、ウチら「はこね病院」の看護グループが本院に戻ることになり、元の所属の部署で仕事をすることになった。ICUなどで受け入れたコロナ患者の受け入れを停止し、元の状態に戻すことになった。がんや心臓病など、本来治療をしなければならない患者を放置するわけにはいかないとのことで、方針を変更することになった。
逆に本院で仕事をしていた「はこね病院」の看護グループが「はこね病院」に戻ることになり、「はこね病院」が「新型コロナ専門病院」となり、病院全体の2/3が新型コロナ専門病棟・外来と化した。残り1/3が本来やっている精神科専門病院となる。本院の一部の医師や看護師が「はこね病院」のコロナ病棟に異動となり、感染症専門の医師たちが外部から招へいされた。幸い「梅の実」の本院メンバーたちは全員が本院の所属となり、コロナ患者の治療や看護、トリアージをすることはなくなった。
しかし、ウチが職場復帰したときには仲良しの彩果(23歳・看護師)の姿がなかった。
あとで聞いた話では、ウチと彩果が雛乃たちとケンカをし、縁を切られた次の日に彩果が自殺を図った。
幸い家族の発見が早かったため、地元の病院へ緊急搬送され、一命をとりとめたが、職場復帰ができないくらい、精神を病んでいた。
利音の退院前に、彩果の両親が彩果がもともと所属する部署を訪れ、彩果の上司の看護師長と早貴さん(27歳・看護師)たちが彩果の両親にクレームをつけられ、とんでもないことになっていた。
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