*前回の記事はこちら!→https://umenomi-gakuen.hatenablog.com/entry/2021/02/12/160000
こんにちは。利音(23歳・看護師)です。
不整脈の手術が無事に終わり、大きな合併症もなく、術後も順調に回復した。
”トントン”(ドアの音)
利音「はい。」
やってきたのは修翔(23歳・看護師)だった。
修翔「利音、大丈夫?」
利音「うん。傷もそんなに大きな傷ではないから、普通に動けるし。そっちはどう?」
修翔「相変わらず。コロナの患者が毎日来てマジで疲れるわ。」
利音「ホントだね。ぼくもコロナの治療を受けたから、エラソーには言えないけど。」
修翔「そうだったね。利音の意識がなくなったときは本当にどうなるかわからなかったけど、でも無事に回復してくれてよかった。」
利音「ありがとう。明日の検査で何も問題なかったら、あさってからリハビリがあるんだ。緊急搬送からずっと寝たきりだったから、歩けるようにならないといけないからね。」
修翔「そうか。リハビリがんばってね。」
利音「うん。」
次の日の検査の結果、心臓に異常がなかったため、その次の日がリハビリの日。
担当が惇一さん(26歳・理学療法士)。同期の巧都(23歳・看護師)のお兄さんだ。
寝た状態から少しずつ起こして、起きたら立って歩く練習。
毎日3食の食事と術後の血栓形成を抑える薬の服用、リハビリというスケジュール。
これらを毎日こなした。
リハビリ開始から1週間後に歩けるようになった。
そしてこの日が2回目の抗体検査の日。
採血をして、コロナの抗体があるかを調べる検査だ。
採血担当がなんと修翔。
同期に採血されるのは研修時の採血の練習以来だ。
修翔「ちょっとちくっとしますよ。」
利音「は~い。」
先輩たちもいる中で、同期が採血。
修翔は何の失敗もなく無事に採血を終えた。
修翔「どうだった?」
利音「ちょっと痛かったけど、でも、研修の時よりもすごくうまくなったよ。」
和弥(25歳・看護師)「手術の局部麻酔では泣き叫んだよね。」
利音「あれはトラウマですよ!めちゃくちゃ痛かったもん!それに比べるとまだまし。」
朋弥(28歳・看護師)「修翔、だいぶうまくなったじゃん!合格!」
修翔「よかった~。ありがとうございます!採血はホント苦手で、なかなかうまくいかなかったんですから。利音の方が採血の仕方がうまいし。」
利音「ぼくもそんなにうまい方ではないよ。なるべくは患者の気持ちを考えながら納得のいく採血の仕方を工夫していましたから。」
和弥「やっぱり成長を感じるね~。」
と、同期の成長にうれしく感じた。
そして数日後、2回目の抗体検査でも異常が見つからなかったため、退院となった。
退院の日には同期や先輩のナースや先生たちが駆け付けた。
利音「本当にお世話になりました。ありがとうございました。」
一世(36歳・救命医)「いや~本当によかった。」
雛乃(23歳・看護師)「みんな心配したんだよ。」
利音「ありがとうございます。今回、コロナに感染して、命の危機に陥って、そして、病気も見つかって治療を受けることができた。「チーム慶明」のおかげでここまでこれました。本当にみなさんには感謝してもしきれません…。」
ぼくはうれしくて泣いてしまった。
修翔がハグをしようとしたが、巧都が…。
巧都「お前はコロナの看護をしているだろ。利音に再感染させたらどうするんだよ。」
と、修翔の代わりに巧都がぼくをハグした。
巧都「つらかったんだから、いっぱい泣けよ。」
利音「…ありがと…。」
ぼくは巧都をハグしていっぱい泣いた。これまでつらかったことが爆発したかのように。
みんなが拍手をしてくれた。みんながいたからこうして無事に退院ができた。ありがとう、みんな。
そして、スタッフのみんなを後にして、迎えに来てくれた親の車で自分の家に帰った。
家に帰ったら母親がぼくの好きなものを作ってくれた。クリームシチューだ。
久々に食べる家の味はホッとする。
しばらくは自宅で静養になるけど、通院治療は継続しつつも、職場復帰を目指して心身ともに休息。
まずは体を休んで、元気になったら職場復帰をしたい。
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