こんばんは。雛乃(23歳・看護師)です。
私の勤務先の「慶明大学附属病院」でも、新型コロナウイルスの影響で医療崩壊が起こっている。
救命をはじめ、ICUやHCUでは「コロナ病棟」化し、毎日毎日コロナの治療ばかりしている。ウチら一般病棟やオペ室(手術室)、外来では自分の仕事をしながら、コロナ患者のトリアージをしている。
利音や彩果、弥香(以上、23歳・看護師)ら一部の看護師や医者たちは神奈川の「慶明大学附属はこね病院」に当面の間異動となり、そこで仕事をしている。「はこね病院」の一部の看護師たちがうちの病院の応援に回り、うちの病院の精神科はすべて「はこね病院」で治療を行うことになり、精神科病棟の患者たちはすべて「はこね病院」に移動または別の病院に転院、退院となり、精神科病棟のベッドの空きをコロナ患者の入院ベッドに利用している。
幸いうちの病院では新型コロナの院内感染は出ていないが、毎日毎日、多くのコロナ患者がうちの病院にやってきて、コロナの治療やトリアージでどっと疲れている。新型コロナの風評被害で自分や家族がいじめに遭った医療従事者もおり、精神を病んだ医療従事者もいる。私のところも姉(礼乃・29歳・看護師)がおい(叶夢・2歳)が通う保育園でいじめに遭っており、姉が自殺を図ろうとしていた。
一部の医療従事者はずっと病院に泊まっており、家族とも会えない状態が続いている。家が遠い医療従事者は家が近い医療従事者の家にずっと居候をしており、埼玉に住んでいる紗友梨さん(24歳・看護師)は日羽里さん(24歳・病院勤務)の家に、千葉に住んでいる翔祐さん(25歳・看護師)は和弥さん(25歳・看護師)の家に泊まっている。神奈川に住んでいる師長の英哲さん(43歳・看護師)は部下でもある修翔(23歳・看護師)の家に泊まっており、家族とは全く会えていません。
それなのに、この3月から現在にかけて、新型コロナの感染者が急増し、東京では300人前後の感染者が増加し、ウチらの病院をはじめ、ほとんどの病院で医療崩壊が進んでいます。ライバルでもある「桜桃総合病院」では院内感染が発生し、患者や医療従事者が感染し、患者数人が死亡しました。
ウチらが「STAY HOME」を呼びかけているのにもかかわらず、多くの国民が仕事や学校以外でも外出をしており、緊急事態宣言解除後では飲食店で飲み食いをしたり、国内に旅行へ行ったりしている人たちが多いです。特に若者や家族連れ、高齢者は顕著に多いです。
こんな状態では限界に感じ、ウチも仕事を辞めようと思っています。
そこで、ウチは同じ病院で働く「梅の実」メンバーたちに呼びかけました。
>話があるので、今日の夜に病院の総合受付前に集合をしてください!(雛乃)
そして、夜に多くのメンバーたちが集まりました。
看護師からはメローネ(うさぎ・♀5歳)、修翔、星羅(22歳・看護師)、巧都(23歳・看護師)、友磨(きつね・♂5歳)、希亜良(ねこ・♀5歳)、颯太さん(24歳・看護師)、紗友梨さん、友梨香さん(24歳・看護師)、春菜さん(24歳・看護師)、実波さん(24歳・看護師)、和弥さん、翔祐さん、早貴さん(27歳・看護師)、レーニアさん(ダックス・♂6歳)、そしてうちの姉。
医師からは春馬先生(27歳・外科医)、孝幸先生(32歳・麻酔科医)、祥太先生(33歳・外科医)、堂先生(43歳・内科医)。
他の医療従事者からは日羽里さん、直矢さん(27歳・理学療法士)、惇一さん(26歳・理学療法士)、千陽さん(25歳・作業療法士)、尊史さん(30歳・臨床検査技師)が集まりました。
他の人たちにも呼びかけましたが、仕事などの都合で来れない人もいました。
巧都「何、話って?」
雛乃「ウチ…看護師を辞めようと思ってる!」
堂「それは、何でなのかな?」
雛乃「ウチ、自分の仕事があるのに、毎日毎日コロナ患者のトリアージばかりやらされて、ほとほと疲れ果てています。うちの姉もこの病院で働いていることで、おいが通う保育園で保育士や保護者にいじめられて、自殺を図ろうとしていたんです!!」
礼乃「雛、やめて!!」
雛乃「ウチも大学時代のサークル仲間との付き合いもなくなり、毎日病院と家の往復ばかりで、どこにも出かけていません。それに、給料だってコロナの影響で下げられて、何のやりがいもなくなって、ウチは生きていても仕方がないのかなって思う。ウチらとは反対に他の人たちはみんなどこかへ旅行や外出に出かけて、感染者を増やして、本当に腹が立っています!!」
礼乃「それは、ウチらはコロナ患者を診ないといけないから仕方がないの。それはガマンをしないといけない。そうでしょ?」
メローネ「…ウチも看護師を辞めたいです!!何もわからないままトリアージをやらされて、軽症患者に暴言を吐かれて、毎日職場のロッカーでずっと泣いています。私も自殺をしようと思っていました。でも、死に切れませんでした。もう仕事をすること自体も嫌になりました!!ウチも雛乃と同じ考えです!!」
春菜「ウチも今の職場でコロナの重症患者の看護をしているけど、ウチもいつ感染されるかわからないし、友達とも遊べないのは本当に嫌!!このままだと精神が病んじゃうし。」
修翔「ぼくも重症患者の看護を毎日やってて、患者から「ありがとう」の言葉なんて一度ももらったことがない。ましてや何の感謝もないばかりか、感染したやつらはぼくらの世話になろうと思っているやつばかり。ぼくもこんなことだったら看護師を辞めて、普通のサラリーマンになろうかなって思ってる。」
紗友梨「ウチもコロナが発生してから、ずっと日羽里の家に泊まり込んで、実家には全く帰っていない。コロナ前はクラブで遊んでいたのに、今はそれができない。」
祥太「医者だって、こんな未知のウイルスの治療なんてやりたくないよ!!ぼくも自分の仕事があるのに、毎日コロナの治療をやらないといけない。医者も救命医だけでは人手が足りないんだよね。」
実波「オペ室も緊急手術以外、オペはやらなくなったし、ウチらもずっとコロナ、コロナばっかり。毎日コロナの治療ばかりしていたら、本来助けなくてはならない患者まで見捨ててしまう。」
翔祐「一般病棟だってそうだよ。うちは肝臓やすい臓の移植を待っている患者が多く、物資の不足で手術さえできない状態になっている。」
星羅「血液内科も骨髄移植や臍帯血移植ができない状態となっています。マスクやガウンだけでなく、消毒液も不足しているので、抵抗力が非常に弱い白血病患者は感染症の危険性があります。」
和弥「どこの病棟も本来治療をしなければならない患者に目を向けないといけないのに、今回のコロナでみんなコロナ患者に振り回されている。みんな限界に来ているのは事実だよ。」
希亜良「いいよな。弥香や彩果たちはのんびりと他の患者の看護をしているからね。それに比べてウチらは毎日コロナばっかり。」
春馬「外に出たらで、周りから陰口まで言われて、何のために医者やっているんだって思うよ。」
直矢「オレだって、実際にコロナ患者は診ていないけど、医療従事者という理由でどこにも出かけられないし、近所の住民からひそひそ話が聞こえて、普通にプライベートにも外出できない。それなのに、一般人たちはみんな朝から晩まで外出ばかりやっているのを見ると本当に腹が立つ!!」
巧都「オレも彼女(莉緒・23歳・メーカー勤務)とは全く会っていないんだよね。いつもだったらデートに出かけるのに、コロナのせいでそれができなくなった。毎日LINEでのやり取りはしているけど、彼女もいい加減に限界に来ていると思う。オレもそう。」
レーニア「オレも実家には帰れない状態が続いているんだよね。家族が「コロナに感染されるから家には来るな」って。」
早貴「私もうちの親から今の病院を辞めて、お見合いをしろって言われた。」
日羽里「堂先生は何か意見はありますか?」
堂「私も家に帰れない状態が続いているよ。ふだんはまっすぐに家に帰って、本を読んだりしているけど、自分の仕事とコロナのトリアージや治療で本当に疲れ切っている。家に帰ると家族に感染する恐れがあるし。」
孝幸「ぼくも同じです。ぼくのところは両親が高齢なので、感染させたら大変なことになるし。ここ最近は和弥くんの家に泊めてもらうか、医局に寝泊まりしていますね。」
尊史「本来なら軽症者の外出を食い止めるためにPCR検査を実施しているのに、保健所側が検査予定の感染者を断っていて、結果、感染者の増加につながっているんですよね。これも今の政府が隠蔽しているように思う。東京五輪の開催や選挙のためにね。」
友梨香「物資だって、本来は政府が無償で支給をしなければならないのに、これを無視している。金銭補償も一切ない。私も今回の件で怒りを覚えています。」
颯太「ねえ、それだったら、オレたちだけでデモをしようよ!みんな日頃の不満がたまっているし、今回来ていないみんなにも伝えようよ!!」
友磨「それいいね!!」
千陽「ウチも賛成!!」
日羽里「ウチらだけでなく、他の病院で働く「梅の実」メンバーたちにも呼びかけようよ!!」
孝幸「早速呼びかけたよ。秀吉(ぞう・♂7歳)の勤務先の「早勢大学附属病院」にも。」
颯太「さすが!!仕事が早いですね!!」
希亜良「「桜桃総合病院」にもメールをしたら、メンバーたちも賛同してくれたよ!!」
惇一「よーし!!じゃあ、デモ開始だ!!」
巧都「オレらのうっぷんを晴らそうじゃないか!!」
みんな同じ考えだった。みんなコロナの状況に不満を持っていた。
うちの病院だけでなく、他の病院の「梅の実」メンバーたちも賛同してくれて、SNSを通じてデモを開始した。
医療従事者の支援をしてくれない日本政府やSTAY HOMEを厳守しない日本国民たちに対し、私たちの怒りをぶつけ、ぶった切ってやる!!!
ウチらがどんな思いで仕事をしているのかを。
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