こんにちは。二コラ(くま・♀4歳)です。
今月のチャットジャッジはこのお題です。
「生活保護は必要?不要?」
生活保護は失業などで生活が困窮したり、障がいや病気を理由に働けなくなった人たちに対し、毎月一定のお金(生活保護費)を受給する制度で、生命生活の「最後のセーフティーネット」として位置付けています。
このコロナ禍で会社が倒産し、職を失い、貯金がなくなった人たちに対して、「生活保護がある」と、菅首相が会見で表明しました。
しかし、昔からの偏見や差別があり、別居する家族への「扶養照会」の厳格化で、このコロナ禍であっても、「生活保護は受けたくない」という人たちが多くいます。
今日はコロナ禍で生活ができない人たちに対して、生活保護は必要っていうメンバーと不要っていうメンバー、それぞれ4人ずつをパネリストとして議論したいと思います。
ファシリテーターは私・二コラです。
必要派メンバーからはツネ子さん(76歳)、実代子さん(32歳・主婦)、虎吉さん(56歳・飲食店経営)、ヤエ子さん(65歳)です。不要派メンバーからは佑介さん(26歳)、清代子さん(30歳・飲食店パート)、らんさん(56歳・飲食店パート)、塩十郎さん(63歳・清掃パート)です。
それぞれ実際に生活保護を受けている方、生活保護を受けていない20~30代、40~50代、60代以上の方を選出しました。生活保護を受けていないパネリストの方は職を失って生活保護を受けることを想定してプレゼンをしてください。
まずは必要派メンバーからのプレゼンです。
>私は生活保護を受けています。主人が若い時に職を転々として年金をもらうことができなくなり、しかも認知症で長期入院をしているため、主人が入院している病院のワーカー(精神保健福祉士)さんの勧めで生活保護を受けることになりました。毎月の生活保護費は自分の年金の金額を差し引いた分をもらっていますが、安定した生活を送ることができ、本当に助かっています。(ツネ子)
>このコロナ禍で職を失い、明日の生活がどうなるかわからない人たちが多くいます。多くの人たちは2度目の特別定額給付金を希望していますが、政府はこれを無視し、生活保護の受給申請を表明しており、厚生労働省でもホームページで生活保護申請を呼びかけています。生活保護はいろいろな問題がありますが、生活保護を受けなければ、今後の生活は非常に困難です。生きるための最後のセーフティーネットなので、生活保護を受けるべきだと思います。(実代子)
>わしは小さな居酒屋を経営しており、コロナ自粛で客が来なくなり、店の経営が危うい状況となっています。生活保護ですが、今のところ申請する予定はありませんが、店をたたんで、誰も援助がなかったら考えたいと思います。(虎吉)
>私は年金をもらいながら、上の息子(ヒロト・35歳・メーカー勤務)の給料の一部でやりくりしています。息子の会社が倒産して、職を失い、主人(平三・66歳)が病気等で死んでしまい、自分一人で生活となったら、受けたいです。生活保護は別居の親族の扶養照会があり、援助があったら受けられないですが、扶養照会がなかった受けたいですね。(ヤエ子)
他のメンバーからの意見があります。
>私が住むフィンランドではセーフティーネットの社会保障があり、失業者など多くの方が受給をしています。欧米諸国では生活保護などの社会保障の受給者は日本に比べて多く、受給者に対する差別や偏見はありません。生活で困っていたら国が助け合うのが当たり前です。日本の生活保護の状況を見ると生活保護の受給者の数は増えてはいますが、欧米諸国に比べて非常に少なく、とてもじゃないけど、国が国民を助け合っていないように思います。(寛志・41歳)
>役所の方でも生活保護の申請を受け付けております。問題となっている「扶養照会」ですが、虐待やDVなどでどうしても家族に知られたらまずい場合は別居の親族等への扶養照会は免除をすることができます。一人で生活保護を申請するのをためらっている方は弁護士や司法書士、施設等の社会福祉士や精神保健福祉士、生活困窮者支援団体の職員やボランティアに同行してもらうことも手です。コロナ禍で生活が苦しくなり、貯金が数十円しかない人もいます。本当に生活が苦しいみなさんはためらわずに生活保護を受けるべきだと思います。(邦秀・23歳・社会福祉士)
不要派メンバーからの反論です。
>生活保護なんて受けるべきではない!!あんなもの、生活を制限されるし、一度生活保護を受けたら元の生活に戻ることができないとんでもない制度だ!!(佑介)
>生活保護を受けるんだったら、一家心中をしたほうがまだマシです!!(清代子)
>生活保護は申請しても門前払いされるし、偏見と差別があるから、いらない!!生活保護よりも特別定額給付金がほしいです!!(らん)
>家族に知られるんだったら、生活保護は受けたくありません!!(塩十郎)
引き続き、不要派メンバーからのプレゼンです。
>ぼくは生活保護を受けさせられました。ぼくは発達障害があり、大学卒業後から職を転々としており、就職が困難になりました。ハローワークの職員から生活保護の受給をすすめられ、役所の精神保健福祉士の同行で生活保護を申請し、受給となりました。その際に別居の両親への扶養照会があり、親に住んでいるところがバレてしまい、電話で激怒され、縁を切られました。受給された後も今の政府によって保護費が引き下げられ、生活が苦しくなりました。それで発達障害の支援センターの勧めで、B型の作業所で仕事をすることになり、少ない工賃をもらうことを余儀なくされています。生活保護は申請しても地獄だし、受給者となっても地獄です。周りからの差別や偏見もあり、元の生活に戻ることができなくなるため、生活保護はおすすめできません!!(佑介)
>私は主人(忠夫・40歳・メーカー勤務)の仕事もありますし、私自身もパートですが、仕事があります。生活保護ですが、生活が非常に苦しくなっても受ける気はありません。生活保護は昔から差別や偏見があり、豪華な家具や家電を持っていると、どこかで売って生活をしてもらうか業者に奪われてしまうと聞きました。最近では某芸能人の親が生活保護を受けていたことで、自民党の一部議員が批判し、その流れで多くの国民が生活保護受給者に対するバッシングがありました。生活保護を受けると子ども(光毅・3歳)がいじめに遭う恐れがあるので、生活保護を受けるんだったら、いっそ死んだ方がマシです。(清代子)
>私は地元の飲食店でパートをしています。生活保護受給を避けるため、兄夫婦の家に居候しています。兄夫婦は私と一緒に住むことは反対しましたが、生活保護を受けるのは嫌だから、一緒に住んで養ってほしいと泣いて頼みました。それで兄は仕方がなく住むことを許してもらいました。今はパート収入の一部を兄夫婦の生活費として出しています。生活保護は周りからの偏見が多く、申請の際のチェックも厳しいので、受けるべきではないと思います。コロナ禍で職を失った人には特別定額給付金を永久に受給してもらいたいです!!(らん)
>わしは仮にコロナ禍で職を失い、生活ができなくなっても、生活保護は受けたくありません!理由は扶養照会です。家は嫁(ケイ子・58歳・介護ヘルパー)の2人暮らしで、子どもたちはそれぞれ別々に住んでいます。もしわしら夫婦が生活保護を申請するとなると、別居している子どもたちに迷惑をかけてしまい、家族の縁を切られてしまう恐れがあります。生活保護を受給すると周り近所にも知られてしまい、大きな差別を受ける恐れがあります。そんな状態になってまで生活保護を受けるのは大きなリスクを背負います。(塩十郎)
他のメンバーからの意見があります。
>韓国では生活保護を廃止にし、年齢に関係なく受給できる年金制度に変更になりました。この年金制度になってからは多くの方が受給しています。しかし、高齢者を中心に生活が断たれてしまい、自殺者が後を絶ちません。韓国は低福祉なので、今後の生活が厳しい環境です。(スンヒョン・35歳)
>私自身、生活保護のケースワーカーをしており、多くの受給者を担当しています。私が住む山口の地域では厚労省の指導に従って、適切に生活保護の申請を行い、受給者に対する指導や助言をしています。しかし、多くのケースワーカーの仕事が忙しくなり、全ての受給者を把握することは困難です。大阪や北九州など一部の地域では生活保護申請者に対する水際作戦を実施しており、生活保護を受給させないようにしているところもあります。いくら厚労省が生活保護の申請を呼びかけても、生活保護を希望する人は少ないですし、我々ケースワーカーの仕事が増えるばかりです。(敏夫・25歳・公務員)
必要派メンバーからの反論です。
>確かに申請の際に別居中の子どもへの扶養照会がありました。そのことで子どもたちが激怒し、それ以降は一切会っていません。扶養照会さえ廃止にしていれば、生活保護を受給する人は増えるのではないでしょうか?(ツネ子)
>日本は生活保護を受ける人が多いと言われていますが、世界全体を見ると欧米諸国などよりも非常に少なく、多くの人たちが行き渡っていないように思います。不正受給をしている受給者もごく一部で、多くの方はきちんとした生活をしています。政府や自治体が生活保護に対する偏見や差別をなくさない限り、生活に困っている人たちが生活保護を受けたいと思う人は増えないと思います。(実代子)
>有名人の生活保護受給に対するバッシングだけでなく、「日本第一党」の党首が外国人、特に在日韓国・朝鮮人への生活保護受給を批判しています。日本は昔から生活保護に対する差別や偏見を持っているので、それをなくさない限りは難しいと思いますね。(虎吉)
>生活保護を受けるんだったら、ややこしい扶養照会を廃止にしてほしい!!(ヤエ子)
以上で終了です!!ここで私がジャッジをします。
結論は…多くの人たちに生活保護受給が行き渡るよう、扶養照会の廃止と、生活保護に対する差別や偏見をなくすべきです!!
生活保護は必要最低限の生活を支援してくれる大変ありがたい制度ですが、日本では生活保護に対する差別や偏見があり、有名人の親族の生活保護受給や一部の受給者の不正受給の影響で、生活保護に対するバッシングがひどくなり、受給している人たちの生活までもがひどくなっています。これらがあることから、申請の際の扶養照会が厳しくなり、今後受給する予定の人たちのハードルが上がってしまいます。生活保護の申請を厳しくし、受給している人たちの生活も厳しくし、差別や偏見があるのは世界を見ても日本だけで、海外では考えられません。
政府はすべての国民に対し、生活保護の申請の際の扶養照会を廃止にし、誰でも気軽に受けれる制度にしてほしいです。今受給している人たちに対しても、より充実したサービスにすることや生活保護費の不当な引き下げをやめるべきだと思います。生活保護をやめることを希望する際も、手厚い就労支援体制の強化や年金等の生活保護以外の社会保障を充実するなど、生活保護なしで安心して暮らせる支援体制をするべきです。また、家庭や職場、学校、地域が一体となって、生活保護に対する差別や偏見をなくす啓発活動をしなければ、本当に必要としている人たちが生活保護を受けるのをためらってしまいます。最後のセーフティーネットの高いハードルはあってはならないことです!!
今日はチャットジャッジ・第84回目、「生活保護は必要?不要?」をお送りしました。
*参考リンク*
なぜコロナ禍でも「生活保護の受給者数」はまったく増えていないのか(PRESIDENT Online):https://president.jp/articles/-/43315?page=1
「餓死しても生活保護は嫌」コロナ禍で困窮、でも彼女は(朝日新聞デジタル):https://digital.asahi.com/articles/ASP1V4305P1QULZU01Q.html
「生活保護、ためらわないで相談を」 コロナ禍で厚労省が異例の呼びかけ(東京新聞Web):https://www.tokyo-np.co.jp/article/76217
ひっ迫する“生活保護の現場” コロナ禍が追い打ちに(NHK NEWS WEB):https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210218/k10012875371000.html
生活保護の「扶養照会」が破壊する家族の絆、娘と孫を搾取する虐待父も(DIAMOND online):https://diamond.jp/articles/-/262441
「生活保護バッシング」がやまない本質的理由(東洋経済ONLINE):https://toyokeizai.net/articles/-/194543
日本の公的扶助制度とセーフティネット――国際比較からみた特徴(SYNODOS):https://synodos.jp/welfare/22795
韓国における公的扶助制度の現状と課題(前編)-生活保護制度から国民基礎生活保障制度の導入まで-(ニッセイ基礎研究所):https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=55231?pno=2&site=nli
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